年に一回でいい。3週間のバケーションがとれたらいい。それくらい休めれば、本当にリフレッシュして、その後の仕事にもいい影響があると思う。
*
3週間の夏休みを毎年。クリスマス休暇も3週間。12月は第2週くらいから従業員が休みを取り始めるから、年末までの3週間、会社の事務作業が止まる。これはヨーロッパでは普通のこと。
ここでヨーロッパとの比較を出して、「日本の長時間労働や休暇の消化率が悪いのは、仕事の効率が悪いから」などと言うつもりはない。そんなに簡単な理由ではないからだ。
まず、仕事が縦割り。だから、担当者がいない時は、同僚が代わりを務めたりはしない。
逆に、私が日本人だからか、現地で働いていた時には、「留守電をセットしていくから、休暇中に電話は取らないでくれ。何故かというと、あなたには答えられないからだよ。」と同僚から念を押されたりする。
(唯一、上司からの問合せには、代替をきめたペアがいてその人が対応する。”お客様は上司”?だとしたら、とても実際的。)
休暇前には、仕事のパートナーに事前に連絡し、その期間は「対応出来ない」ことを伝える。知らずに問合せしてその人が休暇だとわかった場合は、あきらめて休暇明けを待つ。その人の休暇明けには自分が休暇中だったりすると、さらに仕事は後ろ倒しになる。
これはいわゆるホワイトカラーの事務職だが、商店はどうか。
日本だと、閉店時間ぎりぎりに飛び込んだお客にも丁寧に応じる。しかし、ドイツでは、30分前くらいから閉める体制にはいっているようだ。
少し前に店に入っても、露骨にいやな顔をされたり、「今日はもう終わり!」などといわれる。そこで、お客をとりこぼすことを厭わないのだ。
スーパーのレジ。時間帯によっては混み合って延々と並ぶことになるが、それを怒る人はいない。“人が少ない時は商品の整理などを手伝い、多い時はレジを増やす”というようなことはしない。レジの担当は商品の品出しを手伝ったりはしないのだ。
お店の評判が落ちて立ち行かなくなりそうだが、この対応が、事務職でも、商店でも全部で行われたら・・・。それについて競争しないので、企業も商店も困らない。むしろ顧客が行動を変えて、「この時間は混むから、今日は早退しよう」などと調整するのだ。
個人の事情で短縮勤務している人にも当てはまる。午後4時に帰る人がいたとすると、そのあとの時間は同僚による代わりの対応はなし。問い合わせした人はすんなりとあきらめるので、トラブルにもならない。
例えば日本で、いつも午後4時に帰る人がいるとする。そうすると、その後の2時間は同僚が埋め合わせをする。(埋め合わせしなければクレームになる)。
会社としては普通にまわるけれど、短縮勤務の人はいつも周囲に気を遣う羽目に。翌朝、メールを見てお礼やお詫び。そして、同僚も同様に疲弊していく。
ヨーロッパ(ドイツ)がよさそうなことばかり書いたが、育児休業後の復帰はどうか。
前のポジションを準備したり人事部がどこかを斡旋してくれる日本と違い、空いているポジションを自分で探して応募しなければならない。しかし、優秀であれば採用されるから、スキルアップに余念がない。
「時間中、ずっと席にいる」ことだけでは評価されないかわり、何が出来るかに焦点があてられる。
以上、個人的に知ったことだけを書いたので、必ずしもドイツ全土で同じ対応とは限らないが、参考にはなると思う。
要は、もしも休暇や時短を望んでヨーロッパの真似をしようとするならば、それと引き換えに「今享受している便利なサービス」を捨て、仕事については自発的に真剣にスキルアップをしなければならない、ということだ。
よいニュースもある。日本でも、ITの進歩により、在宅ワークを取り入れる企業が出て来たこと。業種にもよるだろうが、今後、サービスの質を落とさずに、仕事が出来る時代がくるかもしれない。