「45歳定年」でも生き延びる独学キャリアアップ術

2021年9月、サントリーHD新浪剛史社長の発言が物議をかもした。「45歳定年制を敷いて会社に頼らない姿勢が必要だ」という発言で、これに対してネットなどでは「単なるリストラではないか」「雇われる側としては不安になる」といった批判が出て話題となった。

新浪氏がその後の記者会見で「定年という言葉を使ったのはちょっとまずかったかもしれない」と釈明したように、この発言は、表現のせいで真意が伝わりづらくなってしまったように思える。おそらく言いたかったことは「終身雇用が崩れていく今後は、転職を前提に主体的にキャリアを考えていかなければ、個人も企業も厳しい」ということだったのだろう。

実際、戦後日本の経済成長を支えてきた「終身雇用・年功序列」はすでに立ち行かなくなっている。2020年以降、三菱自動車やホンダ、オリンパス、カシオといったメーカーに留まらず、NHKやフジテレビといったメディアなどでも早期退職募集のニュースが続いている。

また多くの企業で成果主義の評価方法に舵が切られ、2014年~15年には日立製作所・パナソニック・ソニーなどで人事制度が変更された。トヨタ自動車の豊田章男社長が2019年5月に記者会見で「終身雇用を守っていくのは難しい」と発言したことは「終身雇用の崩壊だ」と話題になった。45歳定年がすぐに実現することはないにしても、終身雇用・年功序列が崩れてきていることは明らかだ。

終身雇用・年功序列が無くなると個人はどうなるか。成果主義で評価され給与が上がるよう、仕事のパフォーマンスを高めなくてはならなくなる。一生その会社にいられる保証が無くなるので、転職市場での評価も意識せざるを得ない。自分のスキルアップを、会社が考える育成プログラムに任せっきりにするのではなく、必要なスキルを自分で考え、自分でキャリアを作る必要も出てくるだろう。

では、新浪氏の発言にドキッとした45歳前後の方が、新浪氏の言うような「会社に頼らない」人材に近づくには、具体的に何をすればいいのだろうか。最近はテクノロジーの発達によって、より少ないお金と時間でキャリアアップに取り組むことができるようになった。普段、転職カウンセラーとして転職の相談に乗る立場から、なるべくお金と時間をかけずに実践できるキャリアアップの方法を考えたい。

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