大家さん「このベッドで亡くなったの。」「えっ!?」文化の違いinドイツ。

海外に住むと、文化の違いに驚かされることがよくあります。
良い意味で驚くこともあれば、悪い意味で驚くこともあります。

今回紹介するのはドイツ赴任時代の話。「死者」との接し方が日本と異なっていて、悪い意味で驚いてしまいました。
ドイツに住んでいた時のアパートのベッド。亡くなった方が使っていたものでした。

ドイツ人は気にせずに、そのまま使い続けるようです。

ドイツで素敵なアパートに住む

ドイツに住んでいた時、私は「家具付き」のアパートに住んでいました。そこは家具だけではなく、コンランショップの食器やカトラリーやキッチン用品、シーツやタオルやふきんなどもついていたので一目で気に入って即決した部屋。

4階建ての8世帯入ったアパートで、その部屋だけが賃貸。建物自体古いものの、室内はとてもきれいにリフォームされていました。

大家さんは30歳くらいと思われるドイツ人の女性。英語・フランス語が堪能な明るく美しい方です。後でわかったのですが、どうやら彼女のお祖母さんからの相続のよう。

彼女は別の場所にボーイフレンドと一緒に住んでいて、そこを賃貸に出していたのです。

そういうことは、最初に言ってくれ

赴任期間を終え、日本へ荷物を送り出して、最後の数日はホテル住まい。最後に大家さんにキーを返却し、現状のチェックのため大家さんと談笑しながら室内を回った時のこと。

寝室のベッドを見て大家さんが「このベッド、素敵でしょ。ああ、お祖母ちゃんを思い出すわ~。」と 懐かしそうに微笑んで言ったのです。

そこで「このベッド、お祖母さまのベッドですか?」と聞いたら、「ええ。ここで亡くなったの。」と言うではありませんか。

私の微笑みがそのまま固まりました。

そういえばこのベッド、スプリングが弱く、寝ると埋もれてしまう感じがして寝心地は好きではありませんでした。

スプリングが弱いのではなく、ベッドが古かったからだったのか。

あまりにもびっくりして聞けなかったのですが、ドイツでは亡くなった人の使用していたベッドに寝ることを何とも思わないようなのです。

わかったのが日本に帰国する直前で良かった。それにしても、「そういうことは、最初に言ってくれ」と心の中で思ったのでした。

「アンティーク」ベッドはあっても「アンティーク」布団はない

どうして私は「亡くなった人が使っていたベッドで寝たくない」と思ったのでしょう。それはおそらく、昔から使われてきた日本の「布団」の使い方から。

布団は、ご家庭にもよるでしょうが、ベッドのように誰々のものというあまり明確な属性はありません。ある場合にも、亡くなった人の布団は普通、処分するか、使うにしても仕立て直して新しくします。

それは明らかに代々使う家具ではなく、長く使える消耗品。「アンティーク」ベッドはあっても「アンティーク」布団はないのです。

日本ではベッド51.6%・布団/マットレス45.7%の使用割合。(出典: ヒトのデータ.com「ベッドと布団」)ベッドはすでに半数の人が使うほど浸透しています。
しかし、亡くなった人のベッドはおそらく布団同様に処分するか、少なくとも家族以外はそこには寝ないでしょう。

最後に

住んでいたアパートのベッドは確かに昔っぽいデザインで素敵ではありました。しかし、日本人の大家さんだったら、少なくともマットだけは、安い物でも新調したと思います。

たまたまこの件は私が帰国する時にわかったので、気分は悪かったものの、眠れないというような実害はありませんでした。
しかし、物件選びの際に亡くなった人のベッドで寝るとわかっていたら、選ばなかったです。

文化の違いによるまさかの出来事。

後日、知り合いに「キリスト教は死に対して前向きだからではないか」と言われて納得。ドイツのネットを見ると、アンティークのベッドが沢山出ていますので気にしていないよう。

そして、先日ドイツ赴任仲間と話していて、マットを替えていなかったのは、ドイツ人は「締まり屋」だから(オランダ人だけではありません)ではないか、という結論に達しました。

ドイツ人は、亡くなった人のベッドも、家族でなくても気にせずそのまま使い続けます。

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Photo via Visual Hunt

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