期末が近くなると気になる人事評価。
期初に目標を設定し、期末が終わってからその達成度を評価する制度(MBO目標管理制度)を導入している企業もあるでしょう。
ここでは上司→部下の評価ではなく、その前段階、自己評価についてお伝えします。
自己評価シートの書き方ポイントとコツ
自己評価シートは、思うがままうめていくものではありません。
① 読み手が納得できて
② わかりやすい
ものにする必要があります。
これにはポイントとコツがあります。
事実を書く
読み手の心にスッと入ってくるものにするには、「事実を書く」こと。それには4つのコツがあります。
1 数字を使う
2 5W1Hを使う
3 評価・実績を入れる
4 例を挙げる
順番に説明します。
1 数字を使う
具体的な数字を使います。数字を読むと、ヒトはその状況を無意識に想像できるからです。
<例1>
A スタッフの指導・育成を行った。
B 新入社員3名・派遣社員1名の指導・育成を行った。
AよりもBのほうがわかりやすいですよね?
売上・人数・期間など、できる限り数字で表記します。
< 例2 >
A 目標の売上高を達成した。
B 2020年は年間4千5百万円、2021年は5千万円、目標の売上を達成した。
AよりもBのほうが読み手の心に残ります。Aの表現では読み手の記憶に残りません。
2 5W1Hを使う
5W1Hで表すと、読み手が頭の中で整理しやすい事実になります。
5W1H:
「When:いつ」「Where:どこで」「Who:だれが」「What:何を」「Why:なぜ」「How:どのように」
<例3>
A 月次レポートを作成・提出
B 月初に前月実績をSAPよりダウンロードしてチャートを作成し、前年との比較を分析したコメントとともに役員へレポートする。
5W1Hすべてを使う必要はありませんが、Bのようにブレークダウンすることで、あなたを良く知らないひと、例えば直属の上司のそのうえの上司や他部署の管理職が読んでも具体的にわかるようになります。
自分にとって「当たり前の仕事」は簡略化しすぎてしまいがちなので注意しましょう。
3 評価・実績を入れる
評価・実績をいれます。
営業で1位をとった、スタープレイヤー賞をとった、などの評価や、プロジェクトが期日通りに完了したなどの実績を入れます。
4 例を挙げる
全部を書ききれない場合は、合計数とともに、例を挙げます。
動詞に気を付ける
前項の「事実を書く」にもつながるのですが、動詞の表現にポイントがあります。
自分の心の持ちようを書かない
代表的な言葉だと「頑張りました」のような自分の心の持ちようを書かない、ということです。上司に「きみは頑張ったね」という印象を持ってもらいたいのはやまやまですが、それを自分から書いてはいけないのです。
<良くない動詞の例>
頑張りました・目指しました・努力しました・大変でした
事実を表す動詞を使う
良くない例を挙げましたが、では具体的にどんな言葉を使ったらよいのでしょうか。それは、事実を表す動詞です。これらをパワーワードと呼びます。
<使うとよい動詞、パワーワードの例>
改善しました・効率化しました・増加しました・達成しました・削減しました・実施しました・展開しました・達成しました・成功しました・企画しました・作成しました・浸透させました・状態になりました・開催しました・時短になりました・低減しました・受賞しました・選ばれました
形容詞・副詞の注意点
形容詞・副詞をなるべく使わない
動詞について説明しましたが、では形容詞・副詞はどうか?単語によっては実際よりも良く見せようとしている印象を与えてしまうので、 形容詞・副詞は なるべく使わないようにします。
<あいまいな良くない表現例>
たくさん・短時間で・長期にわたり・広範囲で・多くの・高額の
曖昧な形容詞・副詞の代わりに事実を書く
代わりに最初に述べた、数値・5W1H・評価や実績・例 を使って事実を書きます。
パワーワード(動詞)と形容詞のかわりに数値を使った文章例
<パワーワードの動詞を使った表現例>
△△△を実施して、(売り上げ・来場者数など)を(〇%・〇円・〇人)増加させました。
△△△だったことを〇〇〇に改善したことで、月の残業を平均〇時間削減しました。
△△△を導入することで(時間・プロセスなどを)〇〇時間(工数)削減し、業務を効率化しました。
「自己評価シートを「ちゃんと書く」たった1つの理由
自己評価をやっつけ仕事のように「空欄を埋める」作業をしているかたも多いと思います。
「自分の仕事ぶりは上司がわかってるから」と。
しかし自己評価をきちんと書くことには理由があります。それは上司に提出した次のプロセスに、他課や他部合同で行われる、管理職の評価会議があるから。
そこでは、あなたをよく知らない管理職のひとたちへ、自己評価シートにあなたに代わってアピールして認めてもらわなければなりません。上司があなたを推そうと思った時にも、このシートは上司をサポートしてくれます。
これから来年のためにすること!
ここまで、おそらくは目前にせまった自己評価シートの提出のために読んでくださったかと思います。過去1年間に自分が何をしたか?特に1年前のことを思い出すのに苦労しませんでしたか?
実は上司も、ここ最近のあなたのことしか記憶になかったりするのです。
そこでこの機会に、次回の自己評価のための新しい習慣を始めましょう。
おすすめは、
- 1行業務日記
- 上司へのメールでのこまめな報告
の2つです。
1行業務日記
一つめの1行業務日記は、毎日仕事終わりに、特に問題を乗り越えたものなどをメモしてから帰宅します。負担にならないようにあくまでも簡単に。詳細に書かなくても自分の仕事なのでメモ程度でOK、見れば思い出せます。エクセルなどでデスクトップに置いておくと良いでしょう。頭もスッキリして帰宅できます。
上司へのメールでのこまめな報告
二つめのメール報告は、上司に常日頃からメールでこまめに報告すること。上司と二人での打ち合わせ後も、話し合ったことを簡単なメモにして送っておきます。メールの最後に検索用キーワードを入れておくと一気に検索できるので便利です。
忙しいときに提出しなければならない自己評価シートの作成。お役に立てば幸いです!