メールを出す時、あて先ではないけれど、情報としてお知らせする相手を、cc に入力しますよね。
このcc、何からきているのでしょうか?
タイプライターとは?
PCが発明される前、 欧米では正式な文書はタイプライターを使ってタイプするのが普通でした。
タイプライターを見たことのない方のために、そのしくみを簡単に説明します。
タイプライターにはインクリボンとアルファベットの形に凹凸をつけてある円盤がセットされています。
そして、キーを指でたたくと(ここは現在と同じ)、該当のアルファベットの形にインクリボンの上が叩かれるので、それが紙に印字されるのです。
当時、コピー機がなかった。
正式な文書、控えをとりたいけれども、当時はまだコピー機が発明されていません。そこで、通常は紙一枚をはさむところ、カーボン紙を間にいれて紙2枚を挟んでタイプしたのです。
“カーボン紙”が分からない方へ。これは今でも使われています。
例えば、宅急便の送付伝票に仕込んである黒い紙。力を入れて書くと、控えに写ります。また、お店で領収書を頼むと、紙と紙の間にはさんでお店の控えをとる、あの紙です。
ということで、ccは、”カーボン・コピー”の略でした。
また、bccは、宛先の人にはその写しを渡したことを教えたくないけれども、差出人がその情報を渡したい場合に使われますね。
これは、”ブラインド・カーボン・コピー”の略になります。
修正はどうやって?
ちなみに、タイプライターでの修正は、どうしたか。
修正専用のコレクタブルリボンと呼ばれるリボン。それが黒・赤のインクリボンと共にタイプライターにはセットされていました。
タイプしている途中で“間違えた!”となると、コレクションキーをたたく。するとタイプライターはタイプしたアルファベットを記憶していて、キーがバックして、Aを消すならAの形でコレクタブルリボンをたたきます。
今ある文房具のコレクションテープと違うのは、Aの形でコレクタブルリボンをたたくと、既に印字されたインクを剥ぎ取ることで元の状態に戻すのです。
そして、その上から正しいものをタイプ出来ます。
しかし、いったん紙を機器から外すと、うまく修正するのは大変。また、ccがある場合、当然ながらカーボン印字の部分は、コレクタブルリボンでは修正できません。
タイプする人に、正確な打鍵と正しいスペルの知識が求められていたことが想像できます。
残るものもあるが、消えていくものもある。
さて、e-mailが出来ても、cc、bccの表記や使い方は残りましたが、消えていったものを一つ。
e-mailが発明される前、MEMO*のタイトルには、Regardingの略で、”Re: “をよく使っていました。
*MEMO: 正式な手紙ではないお知らせや、やりとりに使用。紙そのものを配ったり、FAXしたりした。
しかし、e-mailが登場して、Re は、Replyの略に使われています。そこで、誤解を避けるために使われなくなりました。
実はこれ、個人的には、端境期に新入社員に説明していて、「えっ!ReってReplyじゃないんですか?」と教えてもらって止めたのですが、その頃からだんだん使用がフェイドアウトしていきました。
同じ用途として、残るものもあれば、消えていくものもあるのですね。
当然のようにあるもので、実はその意味の分からないもの。
あなたの周りには何かありますか?
Photo via Visual Hunt