【書評】フィンテック金融維新へ アクセンチュア著 フィンテックとは何か、その先に見えるものとは?

フィンテックについてなんとなくはわかっているけれども今一つ、という人におすすめ。統計等も入った詳しい内容。

後半は「日本の金融、すなわち銀行・保険会社は今後どうすればいいのか」についてページをさいてあり、伝統的な金融業界が想定の読者のようだ。

この部分、言ってる事は“今後、激しく変化する世界で生き残る方法”なので、私のようにこの本の想定読者でなくても示唆に富んでいる。

さっそくご紹介。

フィンテックとは?定義は広くなってきている。

ペイメント単独や商流との相乗効果をねらったもの

例えば、「Paypal 」がフィンテック企業の代表格。登録したクレジットカードで支払うことが出来る、従来の銀行振り込みに代わるペイメントサービスだ。一度くらいは使った事があるだろう。

あるいは、スマホにSuicaなどのカードを登録して、電車に乗ったりコンビニで使ったりしているだろう。

さらに、楽天やイオンで、楽天やイオンのカードを使うことにより、多くのポイントを貰ったりしているだろう。

楽天やイオンは、自らカードを発行することでカード会社への支払を無くし、代わりに沢山のポイントを付与する。自らが商流を持つため、一種の囲い込みをしているのだ。

PtoPの融資

以前は銀行が個人や法人に融資していたものが、テクノロジーの進歩によりネットによるマッチングとビッグデータによる審査で、PtoPの融資を従来の銀行よりも速く有利に行うサービス。日本ではまだ一般的でないが、“レンディングクラブ”がある。

為替、送金手数料なしでの支払い

海外への支払を従来の先方の通貨で送金で行う場合、銀行は為替手数料と送金手数料を得ていた。しかし、例えばビットコインで支払うとすると、そのどちらも必要ない。

脅威から共生へ。テクノロジー企業にとってだけでなく従来の金融にとってもチャンス。

融資、送金、為替。銀行のしてきた業務がフィンテック企業に取って代わられる。そして今後、銀行の売上の30%は減ると言われている。

実際、多くの銀行がフィンテックを脅威と感じているが、どうすれば生き残ることができるのか。

スピード

レガシーを持たないベンチャー企業とは違うため、従来の組織ではスピーディーに出来ない。そこで、例えば別組織として新しいサービスを始めてその後吸収したポーランドのmBankの例がだされている。

イノベーションの創出

トップエグゼクティブ自身が変革し、カルチャーを変える。イノベーションをビジネスに昇華させるには、失敗が許される、トライ&エラーの文化が必要なのだ。

人材戦略

また、専門性を意識した尖った人材を迎える。従来の「決められたことを、正確・効率的に遂行する」能力とはちがったものが求められるため、人材戦略も変えるのだ。

まとめ

少しずつ意識しないうちに私達の生活に入り込んできた、便利なフィンテック。

従来の銀行が生き残る道はある。

しかし、トップがリーダーシップをとって、「会社の文化をイノベーションを創出できるものに変える」ことが必要となる。そのためには、まず、トップの人選のプロセスから変えないと難しいと思うのは私だけだろうか。

早々に手を打つことができる銀行はあるのか。

都銀に勤めていたことのある私は悲観的だ。

日本の大企業、特に保守的な銀行が変わるのは難しい。このまま手をこまねいたままずるずると進んで危機的状態になって初めて動き出すのではないか?

詳しく知りたい人は統計等もじっくりと、概要を知りたい人はざっと読むのをお勧めします。

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