以前の記事で“アルファベットの国は発音の理解の点で英語習得に有利である”ということにふれた。
実は発音の理解以前に、そういった国々の人は“文化”の点でも有利である。
というのも、アルファベットの国同士の文化をそれぞれ〇で表すならば、その共通部分は日本と欧米との共通部分よりも圧倒的に大きいと感じるからだ。
そして、日本人が英語を学ぶ時にその言語と一緒に学ぶべきことは、文化である。
“文化”は概念として広すぎるのでここでは以下“立ち居振る舞い”としたい。
挨拶の時の姿勢
私が若い頃、テレビなどで日本の首相がサミットなどで外国の要人と握手をしているところを見た時、先方は堂々としているのに、日本側はお辞儀をしながら握手をしているからどうもパリッとして見えなかった。
心がこもっているからこそそうなるのだが、(よく日本で電話しながらお辞儀をしている人がいるのもそう。外国人はそれを見て笑うけれど。)国際的な場では、堂々と背筋を伸ばして挨拶したい。
もちろん、以前にオーストラリア人の英語の先生に「日本人の、お辞儀をしながら握手する姿は、日本人の謙虚さや礼儀正しさが現れていて素敵。」と言われたことがあるのでマイナスのイメージばかりではないかもしれない。
しかしそれは日本について興味がありよく知っている人の場合。
残念ながら、現在のグローバル化とは、日本人にとっては、まずは“西洋の文化に合わせる”ことだと割り切ろう。
(“まずは”と書いたのは、“国際的になる”とは“日本人であることを捨てる”のではなく、“日本人であること”にプラスして“国際人として振る舞うことが出来る”幅のある人になることだと思っているから。これについてはいずれ書こうと思う。)
挨拶の姿勢の次は、握手のしかた。
握手のしかた
欧米人と初めて会った時にする握手。その時に驚くのは“痛ったァ~。”というくらいの強さで相手が握ってくること。
握手の力はあなたのパワーを表していて、ちゃんと握らないのは、dead fish(死んだ魚)といって、嫌われる。
最近は、日本人同士でも別れ際に握手することがある。その時は軽くキュッと握るのが普通であろう。ここで強すぎたり長すぎたりするのは変だから、そこは使い分けたい。
視線。相手の目を見て話すこと。
そして、最後は、視線。しっかり相手の目を見ながら話すことである。
日本でも、「面接をする時には面接官の目を見ましょう。辛いな、と思ったら、ネクタイの結び目を見ましょう」ということはよく言われていること。
そういった場数を踏んだ社会人でも意外と怯むのが、相手が西洋人の時である。
どんな美女やイケメンが出て来ても、にやにやせずに(照れ笑いは日本人特有らしい)臆せず、真面目な顔でシッカリ目を見て話すこと。もちろんその逆も同じ。
昔、英会話教室で、皆が何度も何度も “何か忘れていませんか?”と注意されていたこと。意外と出来ないそれは、“アイコンタクト!”なのである。
ドイツ人と居酒屋と夕食を食べた時のこと。お通しで出て来たのはしらすの大根おろし和え。
「これ、あげる。目がいやなんだよね・・」と言われて、「ひょっとして、全部とアイコンタクト!?」と冗談を言ったことがある。
外国人が一般的に嫌がる魚の活き造りも、目が合ってイヤなんだそうである。”目をジッと見る。”というのは、それほど欧米人の身についたものなので、話す時には注意したい。
どこで学ぶか
それでは、そういった立ち居振る舞いは、どこで学ぶことが出来るだろう?
今はオンライン英会話真っ盛りで、その料金と自宅で出来る利便性は、若い頃英語に何十万も投資した身からは羨ましい限りである。
しかし残念ながら、オンライン英会話ではこういった立ち居振る舞いを学ぶのには向かない。
料金は高くなるが、やはりリアルの英会話教室になるだろう。いいスクールであれば、先生もそういったことを指摘してくれるはずである。私が握手の方法やアイコンタクトを身に付けたのも英会話教室だった。
もちろん、欧米人と接点のある環境にある人はわざわざ英会話教室に行く必要はなく、そこで人を観察して真似するのがいい。
まとめ
最後に、私がドイツに赴任して間もない頃、同僚のドイツ人男性から言われたこと。
「自分を大きく見せる必要はない。でも、あなた自身より小さく見せることはない。もっと立ち居振る舞いを堂々としなさい。」
当時、すでに英語で仕事をして何年も経っていて、自分では国際人になりかかっているつもりだったのに、そう言われて凹んだ。
しかし、なるほど、長年しみついた日本の文化は意識しないと自然に出てしまうのだ、と思い至った。
“そんな大雑把なアドバイスでわかるのか?”と言われそうだが、当時の私はすぐ分かった。
なぜなら、職場でのドイツ人女性の立ち居振る舞いを見て、“なんかガサツで男っぽいな” “日本でのチヤホヤされてる可愛い女性と同じくらい、威張っている”印象を受けていたから。
(念のため付け加えると、それは立ち居振る舞いから私が受けた印象だけであって、性格がガサツで威張っているわけではない。)
お手本が周囲に沢山いるのだから、その真似をすればいいだけだ。
それからは、自分の立ち居振る舞いにも意識 を向けるようにした。
言葉と文化は密接に結びついているようだ。英語に限らず外国語を学ぶ時、ついつい言語を学ぶことに気持ちがいきがちだが、立ち居振る舞いも一緒に学びたい。
そうすると、話す時にも“しっくり感”が出てくると思う。
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