この本は、又吉さんが、読書とお笑い、俳句、自分と太宰治、なぜ本を読むのか、近代文学、現代文学、と、いろいろなテーマで本について書いている。
私は読書が好き。そしてどうして好きかを考えた時に、「知識欲」という一言で今までは済ませていた。
この本では「なぜ本を読むのか」に独立して一章を割いている。
そこで又吉さんは、例えば、本の批評で「共感できない」からこの本はだめ、と切り捨てるのではなく、一度受け止めることが大切。
共感できないからと自分の視野を狭めてしまうのはもったいない。新しい、自分の知らない感覚を知るのが読書、と書いている。
私が読書を好きな理由は「知識欲」と書いた。特にビジネス書はそうだ。必要な新しい情報を知るためにビジネス書を読む。
それでは、小説はどうか。
まさに、又吉さんの言う、「新しい感覚を知る」ことが楽しいのだ。小説を読んでいると登場人物の気持ちにシンクロし、実生活では感じたことのない感覚を知ることになるから。
そうか、本を好きな理由はこれだったと今までもやもやしていた理由がわかった。
この本の後半は、近代・現代文学について具体的な作品を挙げて書いてあり、知らない本については、読んでみたい、と思わせる構成になっている。
他にも、文学とお笑いの共通点など面白い視点があり、又吉さんの本に対する思い入れがよくわかる。
おすすめです。