〇×△の記号。便利な記号ですが、日本でしか通じないと思った方がいいです。他のアジアの国で通じる所もあるのかもしれませんが、欧米では通じません。
通じなかったボディーランゲージ
日本に来たドイツ人のグループから聞いたのですが、彼らが居酒屋に行った時のこと。
一歩踏み入れたところで、店員さんの一人が、両手を顔の前でクロスしたんだそう。手で大きく×を作ったのです。
「何か・・insult(侮辱)されたのかと思った。意味が分からなかった。」と言っていましたが、もちろん日本人にはその意味がわかります。今、満席だってこと。
店員さんが、咄嗟にボディーランゲージで伝えようとしたのでしょう。
×だけでなく、「オーケー!」と腕で頭の上に〇を作っても、欧米人にその動作は通じません。
個人的には、そういう動作をしている時、顔の表情も×なら×、〇なら〇の顔になりますから、日本語で「満席です。」とだけ言うよりわかりやすく、結果として通じるのかなとは思います。日本での出来事ですしね。
でも、仕事で欧米人とコミュニケーションする時には、〇×△は日本人のみに通じる記号であることを知っておいて損はありません。
日本の〇は、欧米では何?
では、欧米で、〇×△に対応するものはあるのでしょうか?
昔、会社でお弁当当番をしていたことがありました。朝の9時半までに、その日のお弁当の数をFAXでお弁当屋さんに連絡するのです。
ある日、席でお弁当を食べていたら、同僚の女性が「自分の分のお弁当がない」と私のところにやってきました。
そういう時、私は注文表を見ながら、オフィスの席でお弁当を食べている人をつぶしていきます。
そして、注文していないのに席でお弁当を食べている、最近来たばかりのドイツ人の研修生の男性を見つけました。
「あなた、そのお弁当、注文していないでしょ?」と言ったら、「いや、今朝注文したよ。」と言う。一緒に注文表のある所に来て、「あっ!」となりました。
そう、彼は今日の日付の場所に×を書いていたのです。
注文表は、縦に人の名前、横に日にちの表で、注文したい人はその日の列に〇をつけます。そして私は〇の数を数えて注文します。
もちろん、数える時に×があることは気づいていました。でも、初めに〇をつけていて、会議等で変更になり消しゴムできれいに消えない場合、“注文しない”ことがはっきりわかるように×をつける人がいるため、それだと思ったのです。
もうおわかりかと思いますが、この場合、日本の〇は、欧米では×、いや正確にはアルファベットのXなのです。
欧米のXはどんな感じ?
例えば、パーティーの招待への出欠の返事。日本だと、出席に〇をつけます。
一方、欧米では、“出席”の横に□があり、その□の中にXあるいは✔を書くことによって、“出席”となります。
また、アンケートなどで“該当する”というものに使われます。日本だと項目の・に〇をつけてもらうところ、欧米人には項目の左端の□の中に、Xあるいは✔でチェックしてもらうのです。
難しいのは、〇イコールXでないこと
上記の例を見ると、まるで日本の〇イコール欧米のXに見えますが、そうではありません。
私たち日本人は、〇から、“正しい”とか“OK”といった意味も受け取りますが、欧米人のXにはそのような意味はありません。
ですから、先の居酒屋の例で、手で×を作ったからといって、“席ありますよ!”という意味にもならないのです。
Xは、該当するものにチェックをつける場合に使われていると考えた方が良さそうです。
他にもあるXの意味
面倒なのは、欧米で赤いXは、日本と同じ、アラートのような否定の意味があること。
また、ゲーム機には〇×の記号がついています。これについては全ての電気機器についているわけではないのでここでは割愛しますが、アジア販売用と欧米販売用で表記を逆にしていることから、アジアと欧米でイメージする意味が違うことがわかります。
欧米に日本の〇×△に対応する記号はない
つまり、前述の”該当する”を意味するXを除き、欧米に、日本の〇×△に対応する記号はありません。
欧米には、上記のゲーム機のように、個別に〇や×の記号がついているものがあっても、日本での〇×△ほど、皆に意味が浸透しているものはないのです。
どうすればいいのか?
〇×△はとても便利な記号なだけに、欧米に対応するものがないのがとても残念です。
もし、欧米人とのコミュニケーションでこれらの記号を使いたくなったら、そのかわりに、わかるように十分に説明することです。
私達は学校で、英語⇔日本語訳を習いますが、それが100%イコールではないのと同様、言語だけでなく、記号も、”違うかも知れない”と考えて相手が理解しているのかを確認することが大切てす。
また、それと同時に、欧米の記号の意味も、自分の理解でいいのかどうかを聞いた方がよさそうです。