ドイツにあるゲーテインスティテュート(ドイツ語学校)で寮に入って二ヶ月のインテンシブコースを受けた時のこと。
そこには日本人の学生も結構いて、何棟かある寮の同じ建物にも3人いたし,合計では7~8人いたと思う。
日本人同士も、英語かドイツ語で話す
寮には共同のキッチンがあり、平日の夕飯と週末の朝食をそれぞれ自分で作っては、同じ寮の世界各国から来た人達とおしゃべりしながら食べた。
私達は、ドイツ語か英語で話していた。出来れば勉強のために全部ドイツ語で話したいのだが、ドイツ語のレベルはまちまちだ。そこで語彙が足りなかったり、文法を知らなかったりする人は英語、という具合だ。
日本人同士も、ドイツ語か英語で話した。他国の学生には、Vacation気分の人達もいたが、私が居合わせた日本人は皆真面目で上達したい人が多かったのだと思う。
それは、他国の人達とは違っていた。ロシア人たちはロシア語、イタリア人はイタリア語、というように母国語で会話していた。
「日本人はコーミッシュ(funny)変だね」
日本人学生の一人が、「“何で日本人同士、ドイツ語や英語で話してるんだ?日本人はコーミッシュ”と言われたから、これからは日本語で話す」と言う。
(私以外の日本人は皆学生で、会社員で行っていた私とは年齢の開きがあり、よく相談を持ち掛けられた。)
私は、「私はドイツ語か英語で話すけど、誰でも自分の話したい言語で話したらいいと思う。
でも、”おかしいと思われたくない”からというのも含めて、自分にとって一番いい方法を選んだら?」と言った。
日本語は、アルファベットの言語とは違う
その翌日、どうやら私にも、他国の学生は「日本人は、日本人同士、ドイツ語や英語で話していて、おかしい」と言いに来た。笑いながら、ちょっと馬鹿にしたトーンで。
そこで、私は真面目に、彼の目を見てゆっくり言った。
「日本語は、アルファベットの言語とは全く違う。毎日学習して積み上げたものが、日本語を話し始めると、崩れてしまう。英語は、ドイツ語に近いから大丈夫。私達は、ドイツ語を学ぶにあたって、自分たちの母国語のデメリットを良く知っているのよ。あなたは知らないでしょう?」
彼は頷いて、二度と、言わなくなった。
自分の意見を言うということ
日本にいると、仕事以外で意見を言うことはあまりない。出来るだけ、和を重んじて摩擦を避ける傾向があるのかも知れないし、前に書いたように、日本には暗黙のルールが多いのかも知れない。
海外で意見を言う時に気を付けていることは、「真面目な顔で(照れ笑いをしない)」「目を見て」「礼儀正しく」「静かに、でも自信のあるトーンで」。
そして、「すぐに反論すること。」
これで、相手に失礼にはならないし、たいてい耳を傾けてくれる。
基本的には“郷に入っては郷に従え”
上記は様々な国の生徒が集まる語学学校という場所なので、私は自分の考えのまま過ごした。しかし、海外に行く時は、“郷に入っては郷に従え”を基本にしている。
それは、日本で、どこそこで〇語でまくしたてて窓口に列をつくっている国の人・・・をよく見た、半面教師かも知れない。
意外なメリット
さて、“日本人同士、ドイツ語か英語で話す”ということだが、意外なメリットがあった。それは、私よりもずっと年下の友人が出来たことである。
日本語は、年上に対しては敬語になるので、自然と上下関係のようになってしまうが、ファーストネームで呼び合って英語で話をしていたため、同等の関係が出来たのである。
まとめ
自分の意見を言うためには、日頃から意見を持つ、ということが必要だ。これからはグローバリゼーションで、外国人との関わりが増えていく。
私としては、何も言わないのが楽なのだが、これからはきっと逃げられないと思う。ひとくくりに“外国人”と言ったが、その国もさまざまで、解決方法は必ずしも一つではない。
しかし、以心伝心はないのは明らかなので、それぞれのアプローチを考えることになるだろう。失敗しながら・・・。
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