字がうまいと得な時代は終わった?否、今だからこそ価値があるんです

あなたは字がうまいですか、下手ですか?
うまかったら得していますか?下手だったら気にしていますか?

年賀状を書くのは、字が下手な人にとって辛かった

このところ売上がめっきり減っている年賀状。今はプリンターで裏表印刷ができますが、昔は手書き。

そして1月6日ごろペン字の通信教育である「日ペンの美子ちゃん」のDMが来ていたことを思い出します。

そう、手書きの年賀状のやりとりが一段落した1月6日は、「下手な字をどうにかしたい」とたくさんの人が落ち込んでいる、一年のうちでもっともペン字通信教育のセールスにぴったりな時期だったのです。

昔は「字がうまい」は教養も表していた

今でこそ「字がうまい」ことは文字通りの意味しか持ちませんが、例えば私の母は、達筆の学校の先生や、親戚のおばさんに一目置いていました。

「くずし字のくずし方がちゃんとしている」とか、「美しい」とよく口にしていました。昔、「字がうまい」ことは教養があることも表していたからです。

悪筆の私が大人になってから奮起したわけ

私は字が下手です。そして自分の字にコンプレックスを持ちながらも、悪筆を放っておいた私。

26歳でなんとかしなければならなくなったのは、転職して秘書になったからです。

前任者から引き継ぎを受け、不祝儀袋の表書きを書く仕事があることがわかって青くなりました。自分のものなら下手な字の表書きでもしかたないとしても、書くのは上司の名前です。私の悪筆では上司が恥をかいてしまう……。

そこで、26歳にして、お習字教室へ行くことにしました。当時住んでいたアパートの大家さんを訪ねて、近所にいいお習字の先生がいないかを聞きました。幸い近所に教室を見つけ、毎週一回通うように。

先生に事情を話し、「私の名前はどうでもいいから」と上司の名前を毛筆でもペン字でも必死に練習しました。

不祝儀の時「僕のも連名で頼むよ」と言うマネージャーに不機嫌になったのは、ひとえに上司の名前しか練習していなかったからです。すみません……。

手書きでないと失礼だった時代が変わる

当時会社の年賀状のあて名書きは、年末に「筆耕アルバイト」を会社が雇っていたので安堵。お礼状等の宛名書きも「住所シールでは失礼」という時代。

だから毛筆だけではなく、ペン字もうまい人が重宝されていたのです。

「時代が変わったかも?」と思ったのは、社長名の不祝儀袋を総務部が取り扱うようになってから。

私は、総務部がどうするのか、意地悪く観察していました。そうしたら、不祝儀袋に合わせて縦書きの社長名のスタンプを作り、ご祝儀の封筒の表書きにぺたんと押すようになりました。

手書きじゃないの……?薄墨じゃないの……??

時代の変化を感じました。

手書きではなく読みやすさ優先の世の中に

そもそも、タイプライターの歴史が長くあった英米では手書きではなくタイプした書類が正式。

その流れでできたワープロ・ワードなどのソフトですから、少しずつ日本でも印字したものを正式に使用することが受け入れられるようになりました。

だから最近は何でもPCで作成して印字するのが一般的です。手書きは心がこもっているなどと重宝される事はなくなってきました。

昔は履歴書も手書きでしたが、今は読みやすいPCで作るのが当然。もう、悪筆だからと肩身の狭い思いをしなくてもいい世の中になったのです。

手書きの文字を見る機会も減った

そして私は最近、自分の文字や他人の文字と向き合うことがほとんどなくなったことに気づきました。

学生さんは、授業でノートを取るので手書きの文字と付き合うことも多いでしょうが、社会人は正式な書類やメールは全てタイプ。

自分のも他人のも、手書きの文字を見る機会はぐんと減るからです。

こうして、手書きの文字から遠ざかり「やっと長年のコンプレックスから解放される時がきた」と思っていたのですが……。

やはり字がうまいのは得

ところが先日、友人とノートを見せ合う機会があり、その友人の達筆ぶりに驚愕。そして自分の悪筆の恥ずかしさがぶり返してきました。

そして、しみじみと思ったのです。

人の手書きの文字をなかなか見る機会がないからこそ、アッと驚かせる達筆は、かなりの隠れ美人なのではないかと。「字がうまい」ことがそれほどうるさく言われない現在だからこそ、ちゃんときれいな文字を書く人は、そんなところまで行き届くのかと心も美しく見える。

「きちんとしたご家庭で育ったのだな」とまで思わせて、教養がにじみ出ているではありませんか!

時代が移り変わっても、「字がうまい」のは得です。

綺麗な字はその人の素敵な内面を表しているように見えるのですね。

Photo on VisualHunt

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