転職を考えている時、気になる企業のサイトを眺めていたら、自分のキャリアにぴったりの求人があった!という場合。
一説によると、「転職エージェントを通す」より「直接応募のほうが有利」だそうですが、それってホントでしょうか?
企業に直接応募するのと転職エージェントを通すのとの違い。
私は、過去、日本企業1社、外資系企業2社に勤め、転職活動は5回の経験があります。人事部勤務の人にもヒアリングしてまとめました。
直接応募はエージェント経由とどう違うか
では、企業サイトに直接応募するのは、転職エージェント経由で応募するのとどのように違うのでしょうか?
それは、まず、企業にとっては、以下の3つです。
- 採用コストがかからない
- 直接応募の人は好印象
- エージェント経由よりも面接設定が楽
一つずつ説明します。
採用コストがかからない
直接応募の人を採用するにいたった場合。
企業にとって、採用コストがゼロで済みます。
企業は、転職エージェント経由で人を採用した場合、成功報酬としてエージェントへ費用を支払います。
例えば年収一千万円の人を採用したら、転職エージェントに支払う報酬は、通常3割なので3百万円。会社の規模にもよってインパクトは違いますが、企業はこのコストがセーブできます。
とはいえ、企業サイトからは、必ずしも企業が望んでいる人だけが応募してくるわけではありません。特に人気企業だと、「ダメもと」で応募してくる人があり、その選別に人事部スタッフの人件費はかかります。目には見えないコストですが。
転職エージェント経由の応募ですと、エージェントがすでに人材を集めて、選んであるのとは対照的。
直接応募の人は好印象
日本では、現在、転職活動は、転職エージェントやハローワークなどを利用するのが一般的。求職者は、仲介機関からの求人を見て、その中から応募先を選びます。
求職者にとってみたら、その方が効率的ですよね。
そんな中、わざわざ「この会社」と見定めて、サイトを見に来た人は、企業からしたらとても好印象なんだそう。
エージェント経由よりも面接設定が楽
もう一つ、人事部勤務の人が言っていたこと。それは、いざ、面接の日程を決める時に、エージェント経由だと返事が来るのに時間がかかるということ。
面接の時には、面接官をつとめる忙しい管理職と日程の調整をしなければなりません。
エージェント経由だと、管理職の日程を仮押さえしてもらってエージェントに知らせ、エージェントから応募者へ……となるので、企業の人事部は、待つ時間が長くなります。
直接応募者と連絡をとるほうがさっさと面接の設定がすすむから気が楽なのだとか。
さて、企業側についてお伝えしてきましたが、応募者側からしたら、企業サイトに直接応募するとはどういうことなのでしょうか?
採用されやすい?
今度は、応募者側からすると……。
先ほどの「企業側からの違い」と関係しますが、直接応募すると「採用コストがかからない」そして「好印象」のため、「有利」だと言われています。
コストについて
まず、コストについて。
「採用コストがゼロ」とは言っても、日本では一度採用すると簡単には解雇できません。ですから、「採用費がタダだから」という理由「だけ」で採用が決まるということはありません。
コストという点では、企業は、採用費用よりも、毎年発生する固定費としての年収のほうを意識します。
とはいえ、他の候補者と同等の場合には、直接応募の候補者のほうが有利になるでしょう。
企業に与える好印象について
次は、企業に与える好印象について。
企業のサイトをわざわざ探して直接応募してきた人は、企業にとって好印象だと書きました。
第一印象はとっても大切だということは、近年いろいろな調査でわかっています。ですから、直接応募で好印象が与えられるのなら、それを利用するのにこしたことはありません。
直接応募の時に気をつけること
直接応募をすると、特に僅差の場合には、面接通過に有利になりそうです。しかし、転職エージェントを使わずに直接応募する場合には、注意することがあります。
それは、以下の3つです。
- メール・電話のやりとりも評価されるので注意
- 年収などの雇用条件は自分でチェックする
- 企業研究をしっかりと やる
では、一つずつ説明します。
メール・電話のやりとりも評価されるので注意
応募する時から面接の日程調整まで、企業の人事部の人と直接やりとりすることになります。クイックレスポンスを心掛ける、そして電話でのやりとり、メールの文章にも注意を払ってください。
それは、メール・電話のやりとりも評価されるから。せっかくの直接応募での好印象をキープさらにはアップしたい。
きちんとしたやりとりをして面接に行くと、その担当者が出てきた場合、緊張がやわらぐというメリットもあります。
特に、応募の時、サイトに専用のフォーマットがあり、職務経歴書や履歴書のファイルを保存して送る機能がある場合はいいのですが、そういった機能がなく、サイト記載のメールアドレスに送る場合。
ただファイルを添付して送るだけでなく、あいさつ文、志望動機などを簡潔に書いてからファイルを添付します。
転職エージェント経由の時は、「応募する」という連絡だけで済むのとは違うところです。
尚、「メールをきちんと書く」とは、手紙のように「拝啓 貴社益々ご清祥……」云々と書くことではありません。
メールの簡潔な書き方はこちらの記事『こんなとき「お世話になっております」が失礼に?メールの書き出し』を参照してください。
年収などの雇用条件は自分で交渉する
転職エージェント経由の場合、年収などの、自身ではやりにくい交渉はエージェントの担当者がサポートしてくれます。
しかし、直接応募の場合は、全て自分でする必要があります。雇用契約はしっかりと確認しましょう。
企業研究をしっかりとやる
転職エージェントは、企業情報はもちろん、それ以外の役立つ情報をくれて、応募者が採用になるようにサポートします。例えば、過去にそのエージェント経由で面接あるいは採用になった人がいた場合、面接の内容や、会社の雰囲気などについてです。
もちろん、転職エージェント経由の紹介であっても、自分で調べることは必要ですが、基本的な情報はエージェントから簡単に手に入ります。
しかし、直接応募の場合は、ゼロから自分で情報を集める必要があります。ネットや知り合いのつて、BtoCの会社であれば商品を見たり買ったりするなど、情報を出来る限り集めましょう。
ここまででわかると思いますが、直接応募にはメリット・デメリット両方あります。以下のように、求職者の状況によってどうするかを決めましょう。
気になる企業のサイトで求人を見つけたら?
登録しているエージェントにその求人がない場合
まずは、登録しているエージェントにその求人がない場合について。
すぐに直接応募しましょう。
よほど人気のある企業以外は、企業サイトだけでは求職者を集められませんので、企業はサイトに求人を載せるのと同時に、転職エージェントに依頼をしているのが普通です。
すでに応募している人がいて面接がすすんでいるかもしれません。
転職エージェント経由の応募と同様、早い応募のほうが好印象。特に、企業サイトの求人は、いつ募集を始めたのかわからない場合が多い。クローズになる前に、一刻も早く応募しましょう。
「自分では年収交渉ができないから不安」という人もいるかもしれませんが、その求人を扱っているエージェントを探して登録している間に、その募集はクローズしてしまうかもしれません。
そもそも全員が年収交渉を出来るわけではないんです。勇気を出して応募しましょう。
登録しているエージェントにその求人がある場合
次に、登録しているエージェントにその求人がある場合。
転職エージェントから「ここに応募しませんか?」と情報をもらった時、企業のサイトにいったら求人が載っていた、というのは、私が転職活動していた時にもよくありました。
その時、エージェントにだまって直接応募することもできるかもしれませんが、私はしませんでした。
それは、下記の3つの理由です。
転職エージェントを使うことで転職活動によるストレスを減らせる
直接応募の場合、上記の注意点で挙げたように、「応募した時から電話・メールでのやりとり」も評価されます。
転職活動は、仕事をしながら次を探すことが多いです。そんな中、クイックレスポンスに加えてきちんとしたやりとりにエネルギーを使うのは大変。
相手がエージェントであれば、クイックレスポンスは大切ですが、やりとりは用件のみ。また、聞きにくいことも代わりに聞いてもらえるので気が楽です。
転職エージェントにかわりにやってもらったほうがストレスがありません。
個人では得られない情報がもらえる
転職エージェントは、彼らならではの情報を持っています。それは、例えば、過去に面接に行った人・採用された人からの情報。
また、担当者が直接その求人ポジションの上司にあたる人と会っている場合には、その人の印象などもわかります。
今後の紹介案件に影響してしまう
エージェントから紹介があった求人に「応募しない」と言う場合、その後、効率的に紹介してもらうため、通常は「理由」を言います。
そうすることで、次も紹介をもらえるわけですが、自分の希望にぴったりの求人への応募をしない、と連絡すると、うまく嘘をつかないと、今後の紹介案件に影響してしまいます。
転職エージェントへの「こういう求人がいい」という希望に一貫性がなくなってしまい、今後、自分に合った求人がこなくなる可能性があります。
また、エージェント業界は広いようで意外と狭い。エージェントに勤めるコンサルタントも、エージェント間で転職します。私も転職活動中に、「あれ?前回お会いした時は、ココじゃなくて、〇〇駅近くの会社でしたよね?」ってことが、2回あります。
いつまたどこでお世話になるかわかりませんので、良心に反しないほうが良いかと思います。
まとめ
気になる企業のサイトで自分に合った求人を見つけた場合。
そのサイトに行きついたのが、そもそもエージェントからの紹介の場合は、そのままエージェント経由で応募しましょう。
そして、もしも自分で求人を見つけた時には、とにかく、チャンスを逃さずに、速攻で応募しましょう。
そのためにも、日頃から自分のキャリアの棚卸しをして、直近までの職務経歴書を作っておくことをお勧めします。
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Photo by Sean Pollock on Unsplash