前回は、私が何度怒ってもまったく響かず、いつも機嫌のよい営業部の管理職Aさんについて書きました。
当時の私は、そのおじさん達の売っている商品の経理を担当していたんです。
そして、同じ営業部で、実際にセールスで外を回っているBさんも、すごい心臓の持ち主でした。
いつも請求書を大至急払うのはなぜ?
Bさんはしばしば私のところに請求書を持って現れました。そしていつも、「これ、大至急払ってください」と言って去っていく。
会社から外部への支払は、月末に支払うのが普通です。
前月分の請求書は、大抵どの会社も第3営業日くらいには発送します。それを受領して承認を得てから経理に提出すれば、月末払いにはらくらく間に合うはずなのですが……。
Bさんは、いつも「大至急払ってくれ」と持ってくるので、カレンダー外の支払をしなければなりません。
請求書日付を見ると、何か月も前のもの。いったいどうしたのか?
机の引き出しに入れたまま忘れている
その理由は……。
どうも、請求書が送られてくると、Bさんは、どうしたらよいかわからず、まずは机の引き出しにしまう。そして、忘れてしまうらしいのです。
結局、それを見つけるのは、何か月も入金がないからと先方が怒って電話をかけてきた時。
だから、いつも「大至急支払ってくれ」になってたんです。
提出書類がひどい
請求書の社内処理をしたことがある方ならわかると思いますが、請求書には内訳が必要です。何を買ったのか。あるいは、どんなサービスを受けたのか?
それがわからないと帳簿につけられません。
そこで、費用を使った部署は、その内訳がわかる明細を添付して経理に提出してきます。もちろん、その明細にある数字と、請求書の数字は一致しなければなりません。
しかし、Bさんの請求書に添付してある書類はひどい。
同じものが複数あったり、全く関係のないものがはいっていたりと、めちゃくちゃなのをカシャッとホッチキスでとめてある。
合計も合いません。いつも提出後に何度も電話する羽目になりました。
費目リスト無視
また、Bさんの請求書には、それが「どの費目なのか」についても書いてありません。
『○○に使った△△の費用』
と書いてあるのですが、そんな費目はないぞ!
また、営業部には、予算の担当者Cさんがいます。
Cさん経由で請求書がくるのですが、Bさんの請求書には予算担当者Cさんのポストイットが貼られています。
『何のことやら私にはさっぱりわかりませんので、ご質問はBさんに直接お願いします』
とりまとめの担当者にも見捨てられているんです。
私が何度怒っても、まったく変わらないBさん。
まぁ、セールスパーソンは、クレームにも慣れてるので、社内の人にうるさく言われたくらいでは響かないですよね……。
Bさんについての驚愕の事実がわかる
そんなこんなで私のブラックリストに入っていたBさん。私、ホントに怒ってました。
しかし、その後、驚きの事実がわかります。
それはBさんが、
『一人でそのビジネスの1/3を売っていた』
トップセールスだったこと。
そこの部署にはほかにもセールスパーソンが沢山いたのです。きちんとしてて請求書に不備がないから、ほとんど会ったことがない方たちが。
Bさんは、その中で「ダントツ」だったよう。
人には得意・不得意がある
私が担当のあいだ、テキトーな請求書を経理に提出し続けたBさん。まさか、そんなにセールスに長けていたとは!
そういえば、Bさんが請求書を持って経理に来た時、携帯が鳴ったことがありました。「お電話ありがとうございます。」と言って電話にでたBさんはとっても丁寧。
そうそう、言い忘れましたが、Bさんは、私に対しても、応対はとてもソフトでした。
しかし、「極端に事務が苦手」という人だったんです。
『人には得意・不得意がある』
この時ほど、この言葉を思ったことはありません。
逆に私が営業部でセールスをしていたら、売上を上げられずに毎日上司に怒られていたかも……。
自分がやってる仕事って誰でも出来ると思ってしまいがち。反省しました。
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Photo by David Clode on Unsplash