ホームステイの受け入れ。ホストファミリーの注意点。食習慣の違いへの対応の方法は?

以前、実家でアメリカ人交換留学生(大学生)のホームステイを受け入れていました。子ども達が巣立って空いている部屋があったため、知り合いから頼まれて受け入れを決めたらしいです。

うちは両親とも英語がほとんど話せません。それでもアメリカ人5人をそれぞれ半年間受け入れました。楽しい思い出が多いものの、戸惑うこともしばしばあったよう。

その時に聞いた話を注意点としてまとめました。「日本人の当たり前」が通じない世界へようこそ
今回は食事編です。

アメリカ人に「日本食が好き」と言われて母が用意したものは?

初めて留学生を受け入れた時。母から、スティーブという男子学生の自己紹介を訳してくれと頼まれ、私は日本語に訳してあげました。
その中にあった「日本食は大好きです」という言葉に、母は「それなら簡単」と気を良くしていました。

彼が日本に来てからしばらくして母と電話で話した時。「体が大きいわりに小食だわ。日本食、好きだって書いてあったのに」と母。

その日のおかずを私が詳しく尋ねると、母は「ご飯にお味噌汁、ほうれん草のお浸しにワカメの酢の物、筑前煮に焼き魚。」と説明。
そこで私は母に、「スティーブに、『日本食好きだって自己紹介に書いてあったけど、何が好き?』って聞いてみたら?」とアドバイスしました。

後日、母から聞いたところによると、スティーブに、好きな日本食を聞いたら「ス~シ~、スキヤキ~、テンプラ~、シャブシャブ~」と答えたとか。

彼は、ほうれん草のお浸しや筑前煮などの家庭料理を食べたことはなかっただろうし、それらがアメリカのレストランで人気メニューになるとも思えません。

日本人が毎日「お寿司、すきやき、天ぷら、しゃぶしゃぶ」を食べていると思っていた彼は、それらが一品もない食卓を見てさぞがっかりしたことでしょう。

食べ慣れないものは説明しよう

可哀想に、スティーブは日本に来てから時々お腹をこわしていました。同じものを食べている家族は元気で彼だけお腹の調子が……
実家が不衛生だったわけではありません。彼はバラエティーに富んだ日本の家庭料理に必ずトライしていました。その結果、食べ慣れない日本食に彼のお腹がびっくりしたのだと思います。

以下、我が家に来た最初の留学生スティーブが、お腹を壊したものや苦手だったものを挙げます。尚、二人目以降はメニューや食べさせ方に気を付けたため大丈夫だったそう。

山菜等アクのあるもの

タケノコ、わらび、フキノトウなど春を告げる食べ物は、そのほろ苦さが日本人にはたまりません。しかし、このような山菜にはアクがあり、食べ慣れない人のお腹には良くないようです。

青魚のお刺身

サバ、いわし、あじ等の青魚のお刺身。青魚は身体にいいと言われているものの、アメリカ人はそもそも生魚を食べ慣れていませんので、青かろうが赤かろうが関係なく体に負担のようです。
サバのアニサキスも問題になっていますので、注意が必要です。

「頭」のついた魚

活き作りでなくとも、例えば尾頭付きの焼き魚や、鯛の頭のお吸い物などは、アメリカ人は見るのも食べるのも苦手かも知れません。どうやら「目」が嫌らしく、そのせいでシラス干しが駄目という人もいるくらいです。

山菜や、青魚のお刺身。実家では、留学生には「もちろん沢山食べてもいい」ことを前提に、しかし「食べ慣れないだろうから最初は少しがお勧め」と伝えていました。

その理由は、留学生が「家庭で出されたものは残してはいけない」と思って無理をしたり、「日本人の家族を喜ばせよう」と食べ過ぎたりしたことがあったからです。

また、私は焼き魚の目が好きなのですが、目を取り出して食べる姿は、アメリカ人には気持ち悪く映るようです。頭のついた魚は、無理強いせず、事前に食べたいかどうかを聞いてみることをお勧めします。

鍋物は、鍋奉行を任命しよう

最後に、「食べ物の見かけやお腹が大丈夫かどうか」ではなく、食習慣のことを一つ。

ホストファミリーで鍋物をする時には、「鍋奉行」を決めてその人以外は鍋をつつかないこと。
皆がそれぞれのお箸をじかにお鍋に突っ込むのは不衛生だと思うようです。いくらホスト「ファミリー」とは言っても、本当の家族ではありません。母は、留学生が鍋物にお箸をつけないのを見て初めて「これは不衛生だから食べたくないのだ」と気づいたそうです。

「鍋奉行」が菜箸で鍋の面倒を見て、そのお箸で取り分けまですれば、大丈夫。

また、焼肉のときは、自分のお箸で他人の肉をさわらない。焼いてあげるときは菜箸で面倒を見ましょう。

大皿を家族で分ける時も、お取り箸を添えましょう。

私も経験した食習慣の違い

「外国のマナーについて知る」ことと「食べ慣れないものは沢山食べないこと」という教訓は、私自身も海外で痛感したことがあります。

ドイツに赴任していた時にチョコレートを毎日食べていたら、巨大な吹き出物が額に出来てしまったことがありました。現地の人はチョコレートを沢山食べても何ともないのに、私だけ……。

また、北京に行った時、中国人に招待された会食では「お皿にあるものを平らげない」ことに注意しました。お皿に少し残すことは満腹であることをあらわし、「十分にもてなしてくれた」と相手のメンツをたてることになるそうです。

また、別の日に、中華料理を沢山食べたら翌日腹痛になって大変なことに。味は美味しかったのに、油が合わなかったのかも。海外に行ったら小食にしないとですね。

結局のところ、どうすればいい?

ホームステイでアメリカ人を受け入れた時の「困ったこと」と「解決策」を書いてきましたが、もちろんこれで全部カバーできるわけではありませんし、アメリカ人だったら誰にでも当てはまることというわけではありません

また、そもそもホームステイを希望する人は日本の文化に興味があるわけで、ホストファミリーが「アメリカ人はこの食材・料理は苦手だろうからやめておこう」としてしまうと、留学生にとってもホストファミリーにとっても折角のホームステイがいい体験になりません。
かと言って、食べ慣れないものや、彼らが見て気持ちの悪いものを無理に食べさせるのも問題です。

では、結局のところ、どうすればいいのでしょうか?

それは、「食習慣が違うかも知れない」という想像力を働かせつつ、日本の食文化を体験してもらうこと。
そして、日本人は、文化が違う相手に対して、相手の気持ちについて聞かないまま察して決めつけてしまいがち。「わからなければ、留学生に直接聞いてみる」ということが大切です。

単純ではありませんが、「想像力を働かせつつ、相手の考えを尊重する」ということを念頭において対応するのが良さそうです。

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Photo credit: WinstonWong* via Visual hunt / CC BY-NC-SA

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