アメリカンドリームを体現した立志伝中の人物、ヨシダソース会長、吉田潤喜さんの講演会に行きました。
お話から見えたのは、吉田さんの家族・人との出会いを大切にする姿勢と、「ソースを一本でも多く売りたい」というパッション(情熱)です。
吉田潤喜さんとは?
「ヨシダソース」は日本人にはあまり馴染みがありませんが、アメリカで有名なソースです。特にバーベキューに人気のよう。吉田潤喜さんは「ヨシダソース」を始め、ヨシダグループ18社を経営する経営者です。
東京ドームがすっぽり入る広さの豪邸で三千人を招待してチャリティーパーティーを行う富豪、そして小児がんの病院に多大な寄付を行う篤志家でもあります。
ヨシダソースはどうやって誕生したのか?
京都で生まれた吉田さんは、19歳の時、夢を持ってアメリカへ渡ります。苦労の末、空手道場を開き、子ども達や警察に空手を教えることで生計を立てます。
子ども達に空手を教えるだけでなく、自ら考案した「ヨシダ式逮捕術」を警察でも教えていた矢先、不況のため生徒が1/3になるという危機か訪れます。
クリスマスに、道場の生徒から沢山のプレゼントをもらったのですが、お返しするお金がありません。そこで思いついたのが、実家で営んでいた焼肉屋のソース。吉田さんが手作りし、奥さんが瓶詰めしてリボンをかけ、プレゼントしました。
そのソースが「美味しい」と評判になり、「お金を出してもほしい」と言われ、売り始めたことから、ソース販売に商機を見出します。
吉田さんのソースを売るパッション
お話の中では、吉田さんのソースを売るパッションがあちこちに見えます。パッションとは情熱という意味の英語ですが、吉田さんは講演の中で、英語そのままを何回もおっしゃっていました。
銀行から融資の引き揚げを通達されて
ある日訪ねてきた銀行員。銀行が道場のためにした融資が道場地下のソース工場のために使われていると知り、「用途が違う」と2ヶ月での全額返済を迫られます。
吉田さんは必死に2ヶ月で1万本のソースを売り、見事3万ドルの返済をしたのでした。
奇抜なコスチュームでの店頭試食販売
お店では、生徒に売るようにはうまくいきません。そこで、吉田さんは、奇抜なコスチュームで試食販売をすることを思いつきます。
それは、着物に下駄にカウボーイハットという奇抜なコスチュームでの店頭販売。
それが噂になり、「道場の師範がそんなことをして恥ずかしい」と生徒の親に言われます。
吉田さんはそれを聞いて、やめるどころか意地になり、2日目はエルビスプレスリー、三日目はバレエのチュチュを着て店頭に。それが、たまたま訪れた6時のTVニュースで取り上げられ、ヨシダソースはあっという間に売り切れ。
試食だけ何度も来るお客を説得して販売
コストコで試食販売していた時、20分毎に来て、試食用の肉をいくつも食べていく人に遭遇。帰ろうとしているその人を駐車場まで追いかけていき、車の横で10分かけて説得して買わせたのだとか。
人との出会い
コストコ創業者との出会い
試食するだけの人を追いかけて行ってまで売る吉田さん。それをたまたま見ていたのがコストコの創業者。吉田さんのパッションに感動し、「一緒に世界に広げよう」と言われます。
その当時コストコは、まだ一店舗しかなかったため、本気にしなかった吉田さん。しかしその後、コストコの世界展開とともにヨシダソースも世界に進出していきます。
義父(奥さんのお父さん)から助けられる
吉田さんはアメリカ人の奥さんと結婚しています。義父さんは、日本人に娘をとられたことを嫌い、いないところでは吉田さんをJap(日本人の蔑称)と呼んでいたほどだったとか。
しかし、その後訪れた、倒産の危機の際、吉田さんは、その義父から呼ばれます。そして、義父から「息子よ、これを君の夢に使ってくれ。」と自分の退職金、全額の十六万ドルの小切手を渡されます。
これは吉田さんが義父から初めて”my son”と呼ばれた時で、吉田さんは感動し「このお金を絶対に義父に返さなくては」と奮起したそうです。
成功の秘訣は、行動、運、パッション。
さて、吉田さんの成功の秘訣とは何だったのか?
それは、「行動60%、運20%、パッション20%」だそう。
行動
行動は、とにかく動いたもの勝ち。行動しなければ、何もかわらない。知っている起業家で、損得の計算だけをしている人で成功した人はいないそうです。
運
そして運。特に、いい人とめぐり会える運。吉田さんは、それを「人儲け」と呼んでいます。
パッション
最後に、1本でも多くソースを売る!というパッションですね。
今回は、吉田さんが、日本のコストコで自らソースを売りに来日した際に開催された講演会なのですが、会長自ら、コストコで1本1本にサインし、売りまくったようです。
吉田さんは苦労を感じさせない気さくな方
トレードマークのカウボーイハットをかぶって登場した吉田さんの講演は、ユーモアにあふれ、全く飽きさせませんでした。
4回も倒産の危機に見舞われるなど、ここまでの道は決して平たんではなく苦労をされていますが、それを持ち前の明るさと空手で鍛えたガッツ、そしてパッションで乗り越えてきた気さくな方だと感じました。
当日は、参加者全員に机の上にヨシダソースを一本ずつ準備されていました。そしてお弁当も、「ヨシダソースに合うお弁当」。
ちゃんと、お弁当用の小分けパックのソースがついていました。小分けなのに量が多くてさすがのアメリカ。
それは、「講演料は受け取らない」という吉田さんに困った主催者が「ソースが一本でも多く売れると嬉しい」という吉田会長へのお礼に参加者に配ったものでした。
午後4時間にわたる吉田さんの講演と主催者本多健さん(代表作「ユダヤ人大富豪の教え」で有名な著者)との対談。とても楽しかったです。
ヨシダソースのHPはこちら。吉田さんのストーリーもあります。