英語力を表すテストとして人気のあるTOEIC。外資系の求人に応募する時には、ほぼ必須の試験です。
では、TOEICの点数が高ければ外資系でバリバリ仕事ができるのでしょうか?
私は20年以上、外資系企業で働いた経験があり、TOEICはその会社で受験を推奨されていました。そこで、TOEICのスコアと仕事での英語との関係についてお伝えします。
TOEICのスコアの高さと英語で仕事ができるかはイコールではない
私が勤めていた外資系企業。トリリンガルで、英語・ドイツ語を仕事で使っているのに、「どうしてもTOEICで730点にいかない」とぼやいている人もいました。
他方、TOEICのスコアが900点以上あっても英語が話せない人がいました。
その時思ったのは、TOEICは「テスト」であり、それ用の対策をしないとスコアを上げることはできないということ。
仕事で英語を使っているうちに自然にスコアが上がることはないでしょうし(低スコアの人ならあるかもしれませんが)、逆にTOEICの勉強をすると仕事ができるようになるわけでもありません。
TOEICのスコアは、英語力の「一部」を表しているに過ぎないのです。
結論から言えば、TOEICのスコアが高いからといって,英語の仕事はできないのです。
TOEICのテストでわかるのは英語力の一部のみである
いわゆるTOEICは「Listening & Reading (聞く・読む)Test」ですので、仕事の実務で必須のコミュニケーションでのSpeaking(話す)と、メールや書類で使うWriting(書く)のスコアがありません*。
従って、一定のスコアがある、というのは、即英語で仕事ができるという意味とは違います。TOEICのテストでわかるのは英語力の一部にすぎないのです。
(*現在、TOEICにはメジャーではないものの、SpeakingとWritingのテストもあり、おそらくはListeningとReadingのテストだけでは限られた英語力しか分からないという問題を解決すべく設けたのかと思います。)
TOEICで勉強した英語と、実務の英語は違う
学校を卒業してすでに社会人の人は、新卒で仕事を始めた当初のことを思い出してください。日本人で日本語ができても、挨拶や発言のしかた、手紙やメールの書き方など知らないことがたくさんあったことでしょう。
英語も同じです。TOEICでスコアが高いからといって、すぐに仕事で英語が使えるわけではありません。
例えば、私が日本企業から外資系に転職した当時、TOEICは725点でした。一般的にビジネスレベルといわれる730点に近いスコアですが、当時、仕事での英語を話すことも、書くことも、ほとんどできませんでした。
入社後に、上司や同僚が話す英語を聞いたり、書類を見たりして、仕事で使う表現を覚えていったのです。
TOEIC対策で学習する英単語は使用頻度の高いものも含まれていますが、TOEICで高得点だからといって即仕事で英語が使えるわけではありません。
それでもTOEICのスコアが高い方が良い理由
TOEICと仕事での英語は違うということについて説明してきました。しかし、それでも、TOEICのスコアはあったほうがいいのです。
それには次の2つの理由があります。
- 履歴書・職務経歴書に書けるから
- 人事評価に影響するから
履歴書・職務経歴書に書けるから
まず、転職活動で企業へ提出する、履歴書・職務経歴書に書くことができるから。
書ける点数についてはこちら。
履歴書・職務経歴書は何のために書くのでしょうか?それは、書類選考に残って、面接に呼んでもらうためです。
企業にとって、「面接に呼ぶ」ということは、そのために人事部と管理職の時間をさくこと、つまりコストがかかることを意味します。だとすると、わざわざ面接に呼んで実際の英語のレベルを確かめる前に、例え一部の英語力であってもTOEICのスコアで選別できるのは企業にとって効率がいい。
従って、学歴や職歴に明らかに英語が堪能であることを表すものがない場合、TOEICはわかりやすい指標になります。
英語圏の大学を卒業しているとか、外資系企業で役員だったとか、といった経歴があればいらないかも知れません。しかし、外資系でもマネージャーやスタッフレベルでしたら、TOEICのスコアはあったほうがいいでしょう。
人事評価に影響するから
就職・転職活動だけでなく、転職しなくてもTOEICスコアはあった方がいいです。それは人事評価に影響するから。
例えば、私が以前勤めていた外資系企業の人事評価を管理する個人データに、大学の専門と合わせてTOEICの点数も記入欄がありました。このデータは、昇進や異動の際には管理職が見ることができますので、当然、英語が必要な職務の場合の参考にされます。
また、昨今のグローバル化で、日本企業でも昇進にTOEICのスコアを条件とするところがでてきました。異動や昇進の際、国際的な仕事にも耐えうる人材だとわかるので、例え転職するつもりがなかったとしても、スコアを持っていた方がいいのです。
最後に
TOEICのスコアは、仕事での英語力とイコールではありません。
とはいえ、「一定以上の英語力があり、英語に興味があって、かつ、もしも現在中級程度だとしても伸びしろがある」ということ を企業に伝えることができる試験です。
そして、現在のところ、他に適当な試験がないため、履歴書で英語力をアピールするのには最適なテスト。特に、現在英語を使って仕事をしていない人が、英語力をアピールするのに最適なテストです。
それには留学する必要はなく、試験対策をすればいいだけです。
TOEICで高スコアだからといって外資系でバリバリ仕事ができるわけではありませんが、外資系に限らず、日本企業でも、英語を使った仕事をしたい人には最適な試験だと言えるでしょう。
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