このテの話が苦手な方は、スルーしてください。このあと体験談です。
まだ私が20代の頃のことです。横浜に、姉と一緒に住んでいました。
ある夏の日、午後8時過ぎ、最寄の駅から帰る途中、何の気なしに空を見上げたら、霞(かすみ)でできた生き物が右方から上下しながら飛んでくるのに気がつきました。何かを探しているような動き。
私が歩いていたのは、駅前の小さい商店街。閉店時間が過ぎてシャッターの閉まったお店が両側にあり、その先がひらけて住宅街になっていました。そして、午後8時は、いつもなら、同様の帰宅の人々がちらほら歩いているはずの時間。
だから、誰かに、「あれ、何でしょう!」と指差して伝え、怖さを分け合いたかったのですが、驚くことに、なぜかその時、見まわしても私一人しか歩いていないのです。
怖かったのは、それが私の方に飛んできて襲ってきたらどうしよう、と思ったから。
しかし、どうしようもなく、腹をくくって霞(かすみ)の生き物の行方を見守りました。するとそれは、ある家の二階の閉まった雨戸の上あたりからすっと中に入って行ってしまったのでした。
さぁ、怖い。私は走って坂を駆け上がり、マンションの二階へと急ぎ、ドアを開けてくれた姉に、「変なもの見た!一緒に見て。」と叫びました。
そして二人で窓をあけて、例の生き物のいたあたりをよくよく眺めましたが、もう何も見えませんでした。
姉は当初、「誰かが懐中電灯か何かでいたずらしてたんじゃないの~?」などと言っていましたが、私の青い顔を見て信じたようです。
私は、姉に、その霞みたいな生き物は、行き先を探しているような動きをしていたこと、ある家の二階の雨戸の上からすっと入って行ったことを話しました。
そこで……姉が、「今日って、8月13日で、盆の入りだよ!」と言いました。
そこの家の人が誰か亡くなっていて、帰ってきたに違いないです。二階にその人の部屋があったのか、仏壇があったのか。
お盆の時に、魂が帰ってきます。帰る家がわかるように、迎え火をたく地域があります。
昔からの風習には、理由があるものがあるのだなぁ、と納得した経験でした。
本当は後日、その家に行って、教えてあげたかったです。大切な人が、帰ってきてましたよ、私、見ましたよ、と。でも、いきなり私がチャイムを押して言ったら、その家の人は、何かと警戒するに違いない、とあきらめました。
ということで、最近、お墓参りに行ってきました。
困った時、心の整理になるみたいです。
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