“ビジネス英語よりも日常会話の方が難しい”というのは聞いたことがあると思う。
先日英会話スクールを経営している方とお話した時に私の経験を話したら、その方も「外国語は日常会話が一番難しいんですよね。」とおっしゃっていたのでここに書いておこうと思う。
ビジネス英語が難しくない理由
“仕事で英語を使っている”というと、そうでない人からすると、すごく難しいことだと感じると思う。私もそうだった。
もちろん最初は失敗も沢山するし、今でも“簡単”とは言えない。
しかし、もしもここに二人の人がいて、一人は仕事には熟練してるけど英語は不得意、もう一人は英語はペラペラだけど仕事は知らない、という状況だったら、前者のほうが早く相手と意思疎通出来ると思う。
それは、話し相手と自分が“共通の知識のベース”を持っているから。
話し合いのテーマが決まっていれば、事前に下調べも出来るし、言いたいことや聞きたいことを英語で準備しておけばいい。
専門用語と表現を覚えてしまえば、相手の言う事を想像しながら聞けるし、「こういう意味ですよね?」と確認も出来る。
特に日本人は、日本語では主語を途中から省略したり、同音異義語が多くて漢字を思い浮かべながら話すので、“相手の言うであろうことを想像するのが得意”。
“英語”という言語で話しているけれども、実はそのバックにある知識で話している様なものなのだ。
けれども、通常の何気ない日常会話はそうはいかない。あらゆることが話題になるからだ。
会議自体よりも休憩時間が辛い
最初に外資系の会社に入った時、他社からきた管理職には、仕事は出来るけれども英語はこれから、という人も沢山いた。
社内の報告やプレゼンは英語になるけれども、国内の販売店相手の仕事なので、メインの仕事に英語は必要ない、という人達。
その人達から聞いたのは、入社してすぐ参加した海外での英語での研修の辛さ。
「ワーク自体は、スケジュールや資料通りに言われたことをやるからいいんだけど、辛いのは休憩時間。
コーヒーやお菓子をつまみながら会話するんだけど、もう、ずっと英語聞いてて疲れているから尚更、相手が何言ってんだかわからない。頑張って話すとさらに長くなる。外人って男でもおしゃべりなんだよなぁ。」
その時は「へぇ~。そうですか~。」と聞いていたが、正直、あまりよくわからなかった。
休憩時間も夕食も楽しく過ごしたけれど
何度目かのドイツ出張。新しいシステムか何かの説明会だったと思う。
当時、慣れない若手が行く海外出張は説明会。相手との交渉ごとなどの面倒事がなく、資料も渡してもらえるからだ。
休憩時間には、大きい会議室の一角に用意してある軽食とドリンクで会話を楽しむ。
東京の人口とか、飛行機でどれくらいかかるとか、自国で売れている商品など、初対面の人・訛りの強い人とも会話が出来て“あら!大丈夫!”と一安心。
夕食も、私以外の6人とテーブルを囲んで、歓談。
そして、その後、同じメンバーでお酒を飲みながら、その中のひとりの面白いトルコ系ドイツ人のおじさんが、小噺をはじめたのだった。
ちなみに小噺が面白いのは、話のオチが、“全く想像のつかない展開になる”から。
得意のGuessing, Guessingで皆と一緒に息をのんで静かに聞き入る。
そして、最後のオチが・・・。オチだけが・・。
分からなかった!!皆、ドッと笑ったんだけど。
再度言うと、小噺が面白いのは、話のオチが、“全く想像のつかない展開になる”から。Guessできないからこそ面白く、その部分だけは、100%言語を理解できないとだめなのである。
何が嫌かと言うと
この話をフィリピン人の友人に話したら、
「で、ふくちゃん、その時あなた、皆と一緒に笑ったの?」
「うん、笑った。0.5秒くらい出遅れたけどね。」
何が嫌だったかと言うと、英語力が足りなかったことではない。
この時に、オチが分かっていないのに、咄嗟に皆と一緒に笑った自分である。
今でも思い出すと、穴があったら入りたい。
咄嗟に笑ったせいで、後からこっそりおじさんに聞くことも出来なかった。
仕事ではないので深刻ではないと言えばそれまでだが、私にとっては説明会の内容よりもハッキリ今でも覚えていることだ。
何だったんだろ?あの話のオチは?
日常会話は難しい。何が出て来るのか想像できないから。
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