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外資系企業ってすぐクビ(解雇)になるの?という疑問に答えましょう!

「外資系企業は、仕事ができないと、すぐクビになる」
よく聞く話です。これは本当のことなのか、外資系企業2社に勤めた経験があり、友人にも外資勤めのいる私が疑問に答えましょう!

とはいえ、人事部で働いたことはないので一般論ということでお読みください。

「あの人、クビになったから、もういないよ」はある

私自身も経験があり、別の外資系企業に勤めていた友人からも聞いたこと。

それは、他部署の管理職に連絡をとろうとした時に「あの人、仕事ができなくてクビになったから、もういないよ」と教えられる、という経験です。これは外資系企業だからかもしれません。

例えば、私が最初に勤めていた日本企業は、3年弱の私の在籍中、クビどころか転職した人もいませんでした。いなくなったのは、転勤、定年、寿退職の人だけです。

「仕事ができないとクビ」の意味は?

まず、「仕事ができなくてクビ」の正確な意味は何でしょうか。それは、労働者本人の能力不足を理由として使用者(雇用している企業をさす)が指名解雇する、ということ。

これについては、日本の法律で可能ではあるのですが、判例では解雇の場合は厳しい条件が示されています。要は、個々の状況にはよるものの、解雇できても、裁判をしたら企業側が負ける可能性が高い。

企業は裁判に時間とお金をかけるのは避けたいし、負けたら企業イメージが悪化します。

このような理由で、「日本では労働者の能力を理由に解雇するのが難しい」のです。

そういうわけで、「追い出し部屋」を作って労働者に嫌がらせをして自己都合退職に追い込もうとした日本企業があって、非難を浴びたのは皆さんご存じでしょう。

外資とて、日本で指名解雇が難しいのは同じ

ここでいう「外資」とは、外国資本で日本法人を設立している場合(これが多い)や、外国企業で日本に支店をおいている場合。
どちらの場合も該当の労働者が日本で働いている一般的なケースとすると、外資とて日本の法律が適用されます。

ですから、外資系企業も日本企業と同じ立場であり、労働者の能力を理由として指名解雇を簡単にできるわけではありません。

指名解雇をしているわけではない

とはいえ高給で雇っている人が結果を出せない場合、外資系企業は、日本企業のように、「その人をそのまま雇っておく」ということはしません。

そこで、最初に述べたような、ある日連絡とろうとしたら「あの人、仕事ができなくてクビになったから、もういないよ」という事態が起こるのです。

それはもちろん実際は指名解雇ではありません。外資系企業がとっている方法は、「合法的に、平和的に辞めてもらう」こと。

例えば、以下のような提案を労働者にするのです。

提案1

あなたは人事評価が悪い。このままだと降格になる。降格を受け入れるか、〇ヶ月は給与を支払い在籍扱いにするから、その〇ヶ月のあいだ、会社に来なくていいから転職活動をするのはどうか?

この提案は、労働者にも、もちろんメリットがあります。

それは、転職活動は、無職よりも在籍していたほうが断然有利なので、仕事をしないで転職活動に専念できること。

そして、もしも降格を受け入れてから転職活動をした場合は、転職後の年収は下がった後の年収をベースに算定されてしまうので、今、転職活動をしたほうがお金の面から有利です。

とはいえ、転職にはリスクが伴うので、難しい判断にはなります。

提案2

このままだと人事評価の結果の降格になる。もし退職するなら、特別割増退職金を支払うが、どうか?

こちらの提案も、先々この会社にいて幸せそうでなければ、金額にもよりますが、退職金をもらって辞めたほうがよさそう、という労働者のメリットを強調しています。

提案3

上記と組み合わせて、「会社都合退職」にするが、どうか?

「自己都合退職」ですと、失業保険は退職後3ヶ月経たないと支給されませんが、会社都合の場合は早期にもらえるため、労働者にとって有利です。

合法的・平和的に辞めさせる

尚、勿論、「合法的に」ですから、就業規則に、評価や降格についての必要な規定があることは前提。企業は弁護士と相談し、「裁判になっても企業側が負けない」方法での提案をしてきます。

先に、指名解雇の条件が厳しいと書きましたが、それは労働者の職務能力が低い場合、企業は、職業訓練や配置転換などの十分な解雇回避策をとったかを問われるということ。

しかし「高度の職業能力を有することを前提として中途採用された労働者が期待された能力を発揮しなかった」場合には、その「解雇回避策」が軽減される判例が出ています。外資系企業では中途採用が多いので「特に高給取りの人が結果を出せなかった時に対象になりやすい」のはこのせいもあるでしょう。

映画「ロボコップ」の最後の場面

外資系企業の「即刻クビ」で思い出すのは、古いかも知れませんが、映画「ロボコップ」の最後の場面。

ロボコップは、殉死した警察官を改造したサイボーグ。黒幕の社長をやっつけようとしますが、インストールされている「その会社の重役には逆らえない」というプログラムのために動けません。

しかし、会長が黒幕の社長に「お前はクビだ!」と叫ぶと、(重役ではなくなったので)攻撃できる、というシーンです。

当時、「あれって日本だとダメだから、アメリカならではだよね」と話しました。日本では、解雇は少なくとも30日前には通告しないといけないので、「おまえはクビだ!」から30日待たないと。

まとめ

労働者の能力を理由にした指名解雇について、外資系企業も日本企業と同じ状況に置かれています。

しかし、外資系企業の場合、企業からの合法的・平和的に辞めてもらう提案を労働者が受け入れた場合にも、「クビになった」と表現しているだけなのです。

思い出すのは、私の父がいつも私に「外資系はすぐクビになるからな、気をつけろよ」と言っていたこと。いつも「大丈夫、そんなに年収高くないから(対象になるのは高給取りなので)」と答えていました。

私がドイツに赴任していた時も、両親が遊びに来たので長めの休みをとろうとしていたら、父が「クビになったらいけない」と言って、私が地元を案内したのは一日だけで、あとはさっさと他の場所へ行ってしまいました。

「外資系=クビになる」って日本人全体に浸透している考えなんでしょうか?

今、読んでいる本はこちら。外資のトップを歴任した著者のかたも、クビになった経験をお持ちだと書いてありました。ただし、役員ですけどね。

Photo by John Loo on Visual Hunt / CC BY

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