「上司にゴマをすりたくない」という人は多いと思います。でも、これって、考えてみれば、合理的な行為なのですよ。
上司にゴマをするのは良くないことなのか
「上司にゴマをする」のはしたくない、という人は多いと思います。「ゴマをする」=「おもねる」で、自分の心と反することはしたくない、ということでしょうが、これは変なことなのでしょうか?
冷静に考えてみると、合理的な行為だという考察をしてみたいと思います。
優秀な人は、ゴマをすらなくていい?
「自分は優秀で、実績を出しているからゴマすりは不要」というあなた。実は、上司によっては、むしろ優秀だからこそ、気遣いをしなければならない場合もあります。
というのも、「部下が優秀」というのは諸刃の剣。上司にとって、自分のチームが良い実績を残せるというメリットとともに、優秀すぎる部下がいると、上司自身の立場を危うくし、「乗っ取られるのではないか」と思う人もいるから。
優秀だから、ゴマをすらなくていい、というわけでもありません。
徹底した気遣いをしていた同僚
若い頃、徹底した気遣いをする同僚の男性Aさんがいました。そこまでやる人をその前後、見たことがありません。
良いニュースは走ってきて上司に報告
仕事で交渉事がうまくいった時などは、Aさんは文字通り、走ってきて上司に報告していました。
悪いニュースは電話をとった私のせい……?
たまたま「〇〇はだめになったからAさんに伝えて」という電話を取って、メモをAさんの机の上に置いた私。
上司がAさんに「あれはどうなった?」と聞いたら、「あれは確か、彼女(私を指さす)から聞いたんですが、だめになったそうです。」
私は電話をとっただけなんですが、なんで私がでてくるんでしょうか?
重い荷物を持ってくれたのは……
当時,私が重い荷物を運ぶお手伝いを頼むと、いつも「忙しいから」と断っていたAさん。
ある時、私が重い荷物を運んでいたら、たまたま上司が通りかかって手伝おうとしたその瞬間、走ってきた人がいました。
それがAさん。初めて荷物持ちの手伝いをしてくれました。
しかしそれは、私の手伝いではなく、上司の手伝いだからこそ。
その徹底ぶりに本当にびっくりしました。
それは上司への気遣いではない
上のAさんの例で「気遣い」と書きました。しかし、これは、上司への気遣いではなく、Aさん自身への「上司に嫌われたくない」という気遣いです。
良いニュースを走って知らせにいくのもいいですが、悪いニュースこそ、上司から状況を報告するよう促される前に、急いで知らせなければなりません。なぜなら、次の一手を早く打たなければ、問題が大きくなるから。
本当に上司のことを考えていたら、電話をとった女子社員のせいにしている場合ではありません。
また、荷物を持ったのも、上司がよぼよぼのおじいさんなら上司への気遣いでしょうが、スポーツマンで頻繁に出張をこなしている上司の荷物をとりあげてオフィス内の数メートルを運んだとて、上司はありがたくありません。
むしろ、上司は、せっかくの外国仕込みのジェントルマンぶりを披露する機会を奪われたとも言えるでしょう。
見ていてサラリーマンの悲哀を感じます。
とはいえ、Aさんは、その後出世されています。それは、Aさんは、「嫌われないように」という気遣いだけでなく、以下の私の落としどころもちゃんとやっていたからです。
落としどころは「上司をサポートする」こと
若い頃に見た、上司ではなく自分を気遣うAさん。 当時思ったのは、Aさんは「優先度が本当にはっきりしている」ということ。
若い女子社員によく思われたところで、出世に影響するわけではありませんし、目に見えるメリットは何もありません。
ある意味、とても「合理的」な行動だとは思いませんか?
とはいえ、かなりカッコ悪い。
では、自分のプライドを保ちながら上司から好かれる、会社員としての態度の落としどころってあるのでしょうか?
私個人の経験としては、一度上司と合わなくて上司から嫌われ、かなり苦労をした後に、決めたことがあります。それは、「上司にゴマをする」のではなく「上司をサポートする」ということ。
例えば、上司にお世辞を言うのは、上司の仕事のサポートにはならないからしない。けれども、仕事については、想像力を働かせて上司を助ける、ということです。
「上司をサポートする」
その基準を守っている限り、上司から嫌われることはありませんし、仕事と関係のない気を遣おうとしてストレスをためることもなくなりました。
最後に
以前に「大企業に勤めている会社員と自営業者との会話の小噺」を読んだことがあります。大企業に勤めている人がさんざん自慢をするのですが、自営業者に指摘されます。それは……。
自営業の場合、自分のサービスを評価するお客様のうち、一人のお客様から嫌われたとしても、まだ他のお客様がいます。
しかし、会社員の場合、そのサービスを評価する上司は、基本的に一人。その一人から嫌われたらおしまいだ、というのです。
会社員と上司の関係。永遠のテーマですが、何とかうまくやる方法を見つけたいし、どうにもならない時は異動や転職で逃げたいものです。
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