ドイツに赴任していた時の話です。
日本のオフィスの様な、いわゆる大きいフロアそのままに「島」が並ぶレイアウトではなく、2~3名の個室が並ぶオフィス。
毎週月曜日の憂鬱
同室のお隣の席は、ドイツ人女性のAさん。
明るくて聡明、ユーモアもある素敵な人だが、タイトルに書いたように、毎週月曜日、「土日、何をしたの?」と、”絶対”に”必ず”聞かれるのがとても苦痛だった。
もちろん日本でも、友達同士で話すことはある。しかし、会社の同僚に、本人が話さない限り、毎週毎週そんな質問をしたりはしない。
“たまたま席が隣になっただけの同僚が、プライベートのことをしつこく聞いてくる。”という状態に私は不機嫌になっていた。
毎週末、素敵な予定なんてない
現地では当時、土曜日は14時頃に商店は閉まり、日曜日はどこもお休みで、人と約束しない限りすることがないのだ。
そうそう毎週、友達と出掛けたり(当然私の友達など会社関係の少数だ)、ホームパーティーしたりするものか。
「土曜日は、一週間分の買い物。日曜日は疲れてずっと家にいて、何もしなかった。」と言うのも、なんか自分が友達少ないつまらない人みたい。
言うたびに、遠いところに一人で来ていることが思い起こされて少し落ち込む。
(今日も、来るかな来るかな~)と思っていると、必ず聞いてくる。
そのうち、笑顔で答えてはいるものの、(毎週毎週、その好奇心はなんだよ!うるさいなぁ)、と心の中でムッとするようになった。
私の身になって考えて
そして、(そうだ、これから聞かれたら、私も聞き返せばいい。そうしたら、私の気持ちがわかるんじゃないだろうか。)
ということで、その後は、私も「で、あなたは、何したの?」と聞き返すようになったのだ。
しかし、彼女に私の気持ちは伝わらず、にこにこして、「私はね・・・」と喜んで話すのだ。
中国系の同僚に相談
そしてある時、同じ課の中国系ドイツ人(と言っても中国で暮らしたことのある人)女性に、「”週末何した?”って聞く習慣が日本にないんだけど・・・。」と話してみた。
そうしたら、「面倒だったら、本当のことを言わなくてもいいのよ。”特別なことはしなかった。家の片づけして、音楽聞きながら本を読んでリラックスして過ごした。”とか、適当でも。」
そうかそうか。
私だって、日本では、適当に話を合わせたり、お茶をにごしたり、といったことを(時には)やる。
しかし、日本語だと無意識に出来ることが、英語でそういうことをしたことがなかったのだ。
そして、その後、私は言われた通りにしてストレスなく過ごしたのだった。
え!!そういうことだったの!?
これには、後日談がある。
他の部署に異動した後に、ドイツに長い同じ会社の日本人と話す機会があった。
「同室のAさんが、毎週毎週、月曜日に週末何したかって聞いてきたの。日本人は会社でそういうことはまれにしか聞かないけど、これって習慣なの?」と聞いたところ・・・。
「それは、とてもいい意味ですよ。“私はあなたに興味を持っていますよ(あなたが魅力のある人だから。)”ということを、表してるんです。Aさん、いい人だからな~。」
えっ!!
Aさんは気を遣って、毎週毎週月曜日に、週末に何したかを私に聞いて“くれて”いたのである。同僚ではAさん“だけ”が。それに私は気分を害していたのだ。
そして、私が「じゃあ、あなたは週末何したの?」と聞いて、彼女が一層にこにこして答えたわけも、わかった。”あなたも魅力的な人ですよ”と返しているわけだから。
私に湧き起こる感情のベースは何か
海外に行くと、「私が”ヒト”だからか、”女性”だからか、”日本人”だからか、それとも”私”だから、こういう気持ちになったのか?」をよく考える。
上記の場合、私はヒトだから自分が怒っていると思っていたのだが、実は日本人だから湧き起こった感情だったのである。
残念ながら、それは、自分一人で考えても分からない。
ココで、西洋人の”WHY”が活きて来るのだが、それついてはまた今度書いてみたい。
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