リファレンスチェックとは、エージェントや応募企業からの経歴・人柄の照会のこと。多くの外資系企業と、少数の日本企業が最終面接の後におこなっています。
私は転職活動を5回、面接は20回以上受けた経験と、外資系企業2社で働いた経験があります。
転職活動の最終面接が終わり、「リファレンスチェックをするので連絡先を教えてください」と言われたら、「どんな人に、何を頼んだら」いいのでしょうか?
リファレンスチェックとは何か
リファレンスチェックとは何か
リファレンスチェックとは、転職の際、8割以上の外資系で実施されている、正式に採用を決める、最後のチェックのことです。
どんなチェックなのかというと、採用予定の会社(あるいは転職エージェント)が、候補者(筆記試験や複数の面接を通った人)の身元を確認するもの。
簡単に言うと「人柄」と「経歴はあっているか」を確認する身上調査です。
「身上調査」というと、「え!犯罪容疑者扱い?」と思われそうです。しかし、候補者の人柄と経歴を確認することは、新しく候補者を迎える側の会社にとって大切なことなのです。
確認内容は、「候補者の人となり」と「その候補者の経歴は提出された職務経歴書と合っているか」です。
リファレンスチェックは誰にする?
リファレンスチェックは、『応募企業か転職エージェント』が、『候補者の以前働いていた会社の上司や同僚』への電話でのインタビューで行われます。(当然ながら、現在働いている会社にはやりません。)
上司なのか同僚なのか、同じ部署の人なのか違う部署の人なのか・・というのは、応募企業によって違います。
なぜ複数の人にリファレンスチェックをする?
そして、そのインタビューは、必ず二名以上の複数の人になされます。
なぜ二名以上なのか?
それは、もしもリファレンスチェックの結果によって不採用となった場合に、どちらの人の答えがまずかったかがわからないようにです。
インタビュアーは、エージェントの場合・採用予定の会社の人事部あるいは上司になる予定の人の場合があります。
インタビューの内容は候補者には明かされません。
私(候補者)のリファレンス・チェックの経験
それでは、「候補者」として「リファレンスチェックを受ける側」になった、私の例をあげましょう。
ちょうど最終面接まで終った2社からリファレンスチェックの依頼がきました。
それぞれ、以下の条件の2人をリファレンスチェックの相手として紹介するように言われました。
2社をA社・B社とすると、その条件は下記。
- A社 私が以前勤めていた会社の 『同じ部署の上司』と『同じ部署の同僚』
- B社 私が以前勤めていた会社の 『同じ部署の上司』と『違う部署の同僚』
そこで、(同僚でなくても上司でもよいと聞いたので)、以前上司だったかた二人と、他部署の管理職一人に個別にメールで依頼。(一人は重複でお願い。)
そうしたら、20分以内に「喜んで引き受けます。」「私で良ければ引き受けます。」というさらっと一行だけのメールの返事が3通、返ってきました。
感謝と尊敬の気持ちでいっぱいになりましたが、すぐにお願いした方々へ送るメールの準備を始めました。
リファレンスチェックを依頼する方法
では、エージェントや応募企業から「リファレンスチェックをしますので、これこれの条件で、以前お勤めの会社の方の連絡先を教えてください」と言われたら?
どんな人にお願いすればよいのでしょうか。
リファレンスチェックはどんな人に依頼すべきか
次に、リファレンスチェックはどんな人に依頼すべきでしょうか。
お願いするのは、「自分に良い印象を持っている人」(当然ですが)かつ、電話のインタビューですから、「優秀で、礼儀正しく、はきはきと話せる人」。
仕事でプロジェクトなどの荒波をくぐり抜けてきた人なら、申し分ありません。もしも、あなたがリファレンスチェックで不採用になったとしても、仕事で何度も修羅場を経験している方たちは、全力を尽くしたならさっぱりとあきらめて、責任を感じてウジウジしたりしないからです。
また、そういうかたは、引き受けてくださる確率か高いです。なぜなら、そういう新しい経験は、そのかたにもプラスになることがわかっているから。(例えば、そのかた自身が将来転職する場合に参考になります。)
たまに、なんか初めて見たときには無口でもっさりしてて頼りなさげだったけど、実際一緒に働いて見たらすごく優秀だった!という人がいますが、そういう人は例え優秀でも向きません。ご本人にも負担になります。
できるだけ、ピッタリの人を選びましょう。
事前に伝えるべきこと
依頼する人を決めたら、こちらの内容を伝えて、まず、「引き受けてくれるかどうか」を聞きましょう。
- 自分が現在転職活動中で、最終面接まですすんだ会社があること。
- 応募企業(あるいはエージェント)からリファレンスチェックをしたいと連絡がきたこと。
- リファレンスチェックについての説明。
- 〇〇さんに引き受けていただきたい理由。
- 口外しないこと。
そして、引き受けてくれるという連絡をもらったら、このような詳しい内容をお伝えします。
- 応募している会社とポジション(そこで求められている能力)
- 職務経歴書
- 想定問答集 定番は、あなたの長所・短所、それを表すエピソード
「多分こういった質問がくると思うので、作ってみました。このままお答えいただく必要はありませんが、ご参考まで。」
といった感じでざっと読んで準備してもらいましょう。
まず、応募している会社とポジションについて、そしてそこに求められている能力について、包み隠さず説明します。
というのも、そもそも「リファレンスチェック」というのは、応募企業のそのポジションに、「あなたがいかにふさわしいか?」を証明するもの。
どんな企業のどんなポジションに就こうとしているのかを隠していては、良いリファレンスは得られません。(もちろんそのポジションの年収を知らせる必要はありません。)
また、あなたはリファレンスチェッックのために優秀な人を選んでいますから、そういうかたは大抵忙しい。そして、あなたについてあまり知らないか、忘れてしまっているかもしれません。あるいは、リファレンスチェックは初めてかもしれません。
そこで、あなたの職務経歴書と、リファレンスチェックでの想定問答集も準備してお知らせします。
依頼された人は電話でどのようにすればいい?
では、依頼された人には、電話でどのように対応してもらえばいいのでしょうか?
私が頼んだかたの一人は面白いかたで、「フツーに言えばいいんだよね?」と笑って聞いてきたので、「いえいえ、『結婚式の祝辞のつもりで』お願いします」とお伝えしました。
依頼したかたには、「あなたがいかに人柄が良く、応募企業のポジションにぴったりであるか」をあなたに代わってアピールしていただかなければなりません。
リファレンスチェックに協力していただいた方にはお礼を
リファレンスチェックが終わったら、頼んだ人には何かしたほうがよいのでしょうか?
あなたの一生に関係することで、(大抵は仕事中に)時間をさいてくださっていますので、何がしかのお礼、例えばお菓子などを送るなどはしたほうがいいと思います。次の転職でもまたお願いする可能性もありますよね。
お礼はリファレンスチェックが終わったらすぐ
お礼の時期は、リファレンスチェックが終わったら、結果を待たずにすぐに。
応募企業あるいはエージェントとのインタビューに、時間と労力をさいていただいたことへのお礼です。
もしも採用に至らなかった場合、先方もお礼を受け取りにくいし、こちらからの連絡もしずらいです。
お礼には何を?
お礼は何をしたらいいでしょうか?
私もかなり考えたのですが、冗談を言い合うよく知っている方たちで、ご厚意で引き受けてくれたのにあまりお礼をしすぎるのもかえってよくないかもと思いました。
そこで、皆さん、私が部下だった時によく美味しいお菓子を買って配ってくれていたのを思い出して、部下の方たちとご家族に足りる様にお菓子をお送りしました。事業所が近い方には持って行きました。
ご自宅のご住所がわかっていたら、ご家族用に何か美味しいものでも送るのもいいかと思います。もちろんこれは私個人の考えですのでご参考程度に。
採用が決まれば報告も
そして、採用が決まってからまた改めて報告しましょう。この先また、転職でお世話になるかも知れません。
今の仕事を辞める前に
現在お勤めのかたは、自分が会社を辞めた場合にリファレンスチェックを頼める上司と同僚が、同じ部署と他部署とにいるかどうかを考えてみてください。
全員と仲良くするのは難しくても、日頃から、良好な関係の人を作っておきましょう。
また、現在の上司とうまくいっていないかた。できるだけ、在職中に転職先を決めてしまいましょう。
転職活動は、勤務中の会社には秘密でおこないます。ですから、もしリファレンスチェックを依頼するとしても、現在お勤めの会社の上司や同僚ではなく、それ以前の会社の上司や同僚に依頼することになるからです。
まとめ
リファレンスチェックの以前の会社の人への依頼、「そこまで準備してもらうのか……」と感じたかもしれません。
しかし、リファレンスチェックに限らず、試験でも、面接でも、ありのままにこだわらず、準備はした方がいいと思います。そのほうが、例えダメでも後悔しません。
人事部のかたに聞いたのですが、「採用する側からすれば、例え付け焼刃でも準備してきた人の方が好印象」だそうですから。
リファレンスチェックは、ほとんど形式的に行われるものです。しかしそうはいっても、依頼される側のことを考え、準備のための情報は渡しておいた方がいいでしょう。
依頼される人からしたら、仕事と違い、当然にやってもらえるものではないのですから、こちらも適当ではなく誠実に依頼するべきです。そうすれば、全力を尽くしてくれるはずです。
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