私が中学校・高校で習った英語はアメリカ英語。本の中でJaneとMikeは当然のようにファーストネームで呼び合っています。
当時から社会人になるまで私は、「欧米」で一括りに考えていたのですが、この「ファーストネームで呼び合う」という習慣、日本人が学校で習うアメリカ英語とドイツ人の英語では違う点があります。
アメリカは簡単なルール
アメリカ人と初めて会って自己紹介。ほとんどの場合、「私の名前は〇〇・△△△です。〇〇と呼んでください。」とお互いに言ってからすぐに、ファーストネームで呼び始めます。老若男女問わず、役職を問わず、です。私も、以前の会社でアメリカ人の副社長とファーストネームで呼び合っていました。
ちなみに、相手が「ファーストネームで呼んで」と言っているのにMr. / Mrs. で呼ぶのは失礼だそう。相手のことが嫌いで頑なに距離をとろうとしているように聞こえるからでしょう。
ドイツ人のルールは日本と似ている
さて、この後は、ドイツ人と「英語で」コミュニケーションをとる場合についてです。
ドイツ人のファーストネームで呼び合う開始時期は、日本人の「ニックネーム」の扱いとよく似ています。つまり、日本では最初は苗字+さんで呼び合って、仲良くなるとニックネームで呼び始めませんか?
つまり、ドイツ人の場合、最初はMr. / Mrs. で呼び合い、しばらく経って仲良くなってから、ファーストネームで呼び始めるのです。
そしてそれは自然に始まるのではなく、「年上のほうの人」からある日突然「これからは、私を〇〇と呼んでください。」と言われて始まります。
つまり、ファーストネームで呼び合う開始を決めるのは、年上の人。あなたが年下だったら相手が言い出すまで待つのです。
どうしてアメリカ人と違うのか?
ドイツ人のファーストネーム開始についてのルールがなぜアメリカ人と違うのか。それは、彼らがドイツ語で適用しているルールをそのまま英語を話す時にも使っているからです。
ここで、ドイツ語のルールを簡単に説明しましょう。
ドイツ語の「You」には敬称のSie(あなた)と親称のdu(キミ)の2種類あり、人と話す時はどちらを使うのか決めなければなりません。
同時に、敬称のSie(あなた)を使う相手にはファミリーネームで呼び、親称のdu(キミ)を使う相手にはファーストネームで呼ぶ組み合わせが決まっています。
実際のプロセスは、最初は敬称のSie(あなた)で呼び、相手と仲良くなると年上の人の方から、「これからはduでいこう。」つまり、ファーストネームで呼び合おう、という開始の言葉があり、そこからファーストネームで呼び始めます。
これがドイツ語のルールで、その自国語のルールを彼らは英語を話す時にも適用しているのです。
尚、中には「ファーストネームで呼び合うのが嫌い」な人がいますので、ずっとMr. /Mrs.で呼び合い続けることもあります。
若い世代は変わってきている
このちょっと面倒なドイツの「途中変更&年上決定ルール」ですが、若い世代が英語を話す時には「最初からファーストネーム」に変わりつつあるようです。
というのは、外国語である「英語」を話す時はその国の文化つまり「最初からファーストネームで呼び合うこと」をベースにして話すのが外国語を話す時の王道だから。
たまたまドイツ語は英語と似ているので以前はドイツのルールをそのまま英語を話す時にも使っていたものの、最近はアメリカに留学する人が増え、文化もまるごと受け入れるという切り替えのうまい人が増えたのだと思います。
相手がドイツ人の場合、結局どうすればいいのか?
最初に述べたように、相手がアメリカ人であれば、初回からファーストネームで呼び合うので簡単です。
しかし、ドイツ人の場合、「若い人は初めからファーストネームで呼ぶようだけど、中年以降は違うみたいだ。」という理解だけでは具体的にはどうしたらいいかわかりませんよね。
そこで、これは私のとっていた方法です。
・最初からファーストネームで呼ばない(特に自分より年上の場合)
まずは「相手に合わせる」です。ドイツ語のほうが文化的に英語への距離が近いのでそこはお任せして、相手が最初からファーストネームで呼んで来たらこちらも合わせてしまいます。
・年下にはこちらから「ファーストネームで呼び合いましょう」などと提案する
次に、相手が見るからに自分より年が若い場合で、相手が最初からファーストネームで呼んでこなかった場合。
その場合は、まず、その人が同僚などをファーストネームで呼んでいるかどうかを観察します。呼んでいなければ、呼び合うのが嫌いな人、と考えてMr. / Mrs.で通します。
呼んでいる場合は、相手が開始を待っていると考えられるので、仲良くなったところで、私から、「これから私を〇〇と呼んでください。」と言い、そこからファーストネームの関係がはじまります。
実は私、当初、アメリカ人とドイツ人のこの違いがわからず、相手がドイツ人の年上と思われる人にも初対面で「私を〇〇と呼んでください。」と言ってしまっていました。相手が同じように言わないし、呼んでこないので、「おかしいな・・・。」と思っていたのです。
「欧米人」で一括りにしてはいけない、というよく考えたら当然のことでした。
・ファーストネームにはファーストネーム、敬称には敬称で呼び合う
ちなみに、このファミリーネーム・ファーストネームでの呼び方、両国とも、必ず「同じ方法で呼び合う」のがルールです。例えば、自分は相手をMr./Mrs.で呼ぶが相手は自分をファーストネームで呼ぶ、ということはありません。
以上、アメリカ人とドイツ人の違い、いかがでしたでしょうか?ドイツ人に限らず、英語で話は通じていても、文化が違うと教科書通りにはいかないのです。ご参考になれば、幸いです。
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