「がんで余命ゼロと言われた私の死なない食事」神尾哲男著

末期がんで余命ゼロと言われたフレンチシェフである著者が、がんを食事で治すことを決意し、13年間ご自身の体の様子を見ながら続けたその食事内容についての本です。
がんになってから、ではなく、今から食生活を見直してほしい。という神尾さんの気持ちが伝わってきました。

神尾さんが食事で治そうと思ったわけ

神尾さんは、末期がんと診断され、標準療法を受けたものの、それ以上の治療をしても延命は1~2ヶ月程度ということがわかります。そこで、治療はやめ、ご自身がシェフであることから、食事で治すことを決意しました。

どのような食事なのか

それでは、神尾さんが実践された食事はどのようなものなのでしょうか。

添加物を排除する-自炊

まず、外食や調理品などに含まれている添加物を排除した食事です。そして添加物を排除するには、自炊が基本となります。

自炊でも問題がある

しかし、自炊であればいいのかというと、そうではありません。

スーパーで買ってくる野菜や魚や肉。
野菜はF1種と言う1代限りの種を使っているものが多くまた農薬・化学肥料が使われています。
魚は、養殖魚には病気にならないように抗生物質を与えていますし、肉も、その飼料に人の体に良くないものが含まれています。

そこで神尾さんは、塩で揉んだり、帆立貝の貝殻を粉末状にしたものを水に混ぜ、そこに野菜を浸け、農薬などを取り除いてから調理します。

砂糖を排除する

また、白砂糖すなわち精製された砂糖は、がんの餌になるということで、甘いものは一切取るのをやめています。

調味料は昔ながらのものを

調味料についても書いてあります。発酵調味料で長期間発行することによって出来上がる自然の調味料であるはずの味噌、醤油。多少高くても、工業製品ではなく、従来の作り方で作られた発酵調味料を使用します。

原材料表示から、本物を見抜く方法も書かれています。

塩も、工業製品の塩化ナトリウムではなく、天然塩を使います。

具体的なおすすめの調味料も載っています。

まとめ

私は、外食は調理済みの食品には添加物が含まれていることが多く、また、甘いものは体に良くないとわかりながらも、外食・売っているお惣菜・甘いものを自分の食生活から排除することができていません。

本書の中で、「少しくらいなら(体に悪いものを食べても)いいでしょうか?」と神尾さんに聞く人がいる、ということについて書かれていて、「少しくらいならいい、ということがどうして言えようか」と、私たちの甘い認識についてくぎを刺しています。

なぜ生きているのか考えられないと言われるほどの重度の癌であるにもかかわらず、その状態から13年も生き続けた神尾さん。残念ながら2017年5月にお亡くなりになっています。

「がんになっている人、そして2人に1人ががんになる時代、今健康な人にも知ってもらいたい」という神尾さんの気迫が感じられる本です。

心からご冥福をお祈りします。

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